「Finelines」(2001) / My Vitriol

レビュー

流麗なメロディと轟音で攻め立てる、UKの大型新人

My Vitriolのデビューアルバム。「UKの大型新人」なんて取って付けたようなキャッチフレーズで早くも注目された彼ら。後にアルバムに収録される多数のシングルを発表してから出された本作は、新人らしからぬとてもクオリティの高い作品である。洪水のようなノイズを奏でるギターと、怪しく鳴り響く流麗なギターはこと細かく計算されて組み合っており、辺りが真っ黒い雲に覆われるような錯覚に陥る。それは、ニルヴァーナやマイブラからの影響を大きく感じさせる。

インストの①でのゴゴゴと轟く荒々しいノイズは、暗雲に空が包まれ嵐が起こっているようだ。そこから雷を落とすようなトラックの数々、パワーのあるサウンドと、疾走感のある楽曲がとてもカッコいい。そこに組み合わさる綺麗で滑らかなギターとヴォーカルによってシューゲイザーにもカテゴライズされているが、ドリーミーな雰囲気はあまり見受けられない。澄んだヴォーカルなのだが、力強い歌いまわしと時に聴けるスクリーモばりのヴォイスを聴く限りでは、今までのシューゲイザーバンドの特徴でもあった冷めたような歌い方とは程遠い。

しかしながら、UKならではのメロディアスで受け入れやすい部分があちこちに散りばめられているにも関わらず、近年のUKロックとは大きく一線を画している。シューゲイザーファンやUKロックファンなどから注目を浴びているMy Vitriolの動向に今後もまだまだ注目が集まりそうである。

トラックリスト

  1. Alpha Waves
  2. Always: Your Way
  3. The Gentle Art of Chocking
  4. Kohlstream
  5. Cemented Shoes
  6. Grounded
  7. C.O.R.
  8. Infantile
  1. Ode To The Red Queen
  2. Tounge Tied
  3. Windows and Walls
  4. Taprobane
  5. Losing Touch
  6. Pieces
  7. Falling Off The Floor
  8. Under The Wheels

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