「イージーリスニング」(2001) / 坂本真綾

レビュー

控えめなサウンドプロダクトと澄み渡る歌声で創られた神秘的な世界

坂本真綾のミニアルバム。彼女の作品の中でも最も透明感があると言われており、珍しくタイアップ楽曲が無いアルバム。その上曲数も7曲と少ない中でとても統一感が出ている楽曲群のため、コンセプトアルバムのようなクオリティの高さが感じられる。

演奏も他の作品に比べ抑えられているため、彼女の歌声の魅力が最も伝わる作品だろう。神秘的な彼女の歌声に思いっきり陶酔していけるはず。

悲しみを湛えた伸びのある歌声は、とても澄んでいて心地よくて魅力的。繊細で丁寧に歌い上げる彼女の声はパワフルな声とはまた違う魅力を植え付けてくれる。

さらにシンプルな演奏とサウンドが、アルバムの雰囲気を最大限に表現している印象を受け、まるで大草原で寝転がっているような居心地の良さを感じた。もっと言えば水の上を歩く彼女の姿を想像できるほどの美しさも。

胸が締め付けられる#1「inori」#7「birds」は、繊細でありながら力強さも感じられる、アルバムの中でも特に印象的な楽曲。

うたた寝を誘うスロウテンポの#4「afternoon repose」#6「another grey day in the big blue world」は、いい意味で頭の中を空虚感で満たしてくれる。

曲数が少ないにもかかわらず、すべての楽曲が高い水準でまとめられているため、奥が深くて何度も聴きたくなってしまうアルバム。アルバムを通して聴けばストーリー性を何となく感じることができたりと、非常に素晴らしい作品である。そのアルバムの音や表情は、本作のジャケットとタイトルに色濃く刻まれていることがよくわかる。

落ち着きのある作品を求めている方や、純粋に坂本真綾の歌声を味わいたい方は、本作を手に取るといいだろう。

トラックリスト

  1. inori
  2. blind summer fish
  3. doreddo 39
  4. afternoon repose
  1. bitter sweet
  2. another grey day in the big blue world
  3. birds

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