「Duty」(2000) / 浜崎あゆみ

レビュー

浜崎あゆみの3rdアルバム。非常に緊張感があり重苦しい作品のため、賛否が分かれた作品だが、同時に、最も彼女の深層心理に近づけるような作品でもあり、その徹底された世界観を評価する人も多い。絶望三部作と称されたシングル「vogue」「Far Away…」「SEASONS」が収録されていることからも、本作の妖しさは想像に難くない。

#8「AUDIENCE」のように極めてポップな曲もあるが、本作においては完全に隔離された存在となっている。全体を通して漂うのは、光の当たらない部屋に佇む、人を寄せ付けない妖艶なオーラ。中でも特筆すべきはタイトルトラックの#2「Duty」。ネガティブな歌詞を悲痛に歌うさまがとても痛々しく衝撃的。

全体的に本作の歌詞を眺めてみると、彼女のあまりに達観した考え方に感心すら覚えてしてしまう。しかし、その考え方はとても暗くて、寂しい。#3「vogue」=”流行”と題したこの曲も、自分自身を客観的に見つめたような、苦々しい言葉が並んでいる。

#4「End of the World」に至ってはもうタイトルが直接的すぎる。本作は、今までのアルバムのようにドライブ中に楽しんで聴くには向いておらず、ヘッドホンで聴いてその世界観をじっくり堪能したい作品である。

特に好きなのは#7「SURREAL」。後半にサビを全部持ってくる異色の展開だが、サビにたどり着くまでの流れが完璧に近いほどの仕上がりであり、最後に最高のカタルシスを味わって欲しい。

世間一般には”華やかな”イメージが定着している浜崎あゆみだが、本作に限らず自身の感情・心情を隠さずストレートに作品へ反映させるところに大きな魅力を感じる。そんな、”意外に人間臭いところ”にファンは惹かれているのだと思う。

そういう訳で、機械的に素晴らしい曲を量産するビッグアーティストよりも、私は浜崎あゆみのようなアーティストの方が親近感を持てて好きだ。

本作を転機に、彼女は一気に国内を代表するアーティストになっていくのだが、本作はそのための”浄化作業”、彼女自身が負の感情に別れを告げるための”鎮魂歌”だったのかもしれない。ヘヴィなサウンドで攻めたり、少ない音で訴えるようだったりと、アプローチの仕方も多彩で、完成度は極めて高い。

彼女の意外な一面や、統一された世界観を楽しみたい人にはオススメだし、そういう意味では浜崎あゆみを敬遠していた人に聴いてもらいたい作品である。

トラックリスト

  1. starting over
  2. Duty
  3. vogue
  4. End of the World
  5. SCAR
  6. Far away
  1. SURREAL
  2. AUDIENCE
  3. SEASONS
  4. teddy bear
  5. Key~eternal tie ver.~
  6. girlish

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