「deftones」(2003) / deftones

レビュー

未だに本国では高い支持と人気を誇っており、ニューメタル勢の数少ない生き残りとして、良質な作品を生み出し続けているデフトーンズ

ただ日本国内に関しては、リンプ・ビズキットコーンこそ比較的人気があったものの、デフトーンズに関しては知名度がまるでない。個人的にはメタルの中では1~2を争うほど大好きなバンドなのだけれど。

枷からの解放

実際、ニューメタル特有のノリの良さや明るさはなく、クリエイティブさに裏打ちされたとても内向的なサウンドを追求している、異色のバンドといえる。

その片鱗を見せつけたのは前作「White Pony」においてだろう。メンバーとの確執から生まれ、緊張感が研ぎ澄まれた「White Pony」は、未だに彼らの傑作として名高い。

その前作の影響を踏まえて、セルフタイトルでリリースされた本作「Deftones」だが、こちらは起伏が激しく、感情的な表現が目立つ作品となった。

特に冒頭の#1「Hexagram」は、クリーンなメロディーと重たいサウンドと暴走気味の演奏、そしてチノのどこまでも伸びる絶叫ヴォーカルで、楽曲として破綻しかけるギリギリのところを渡り歩いている名曲。同様に#6「When Girls Telephone Boys」も、感情に任せたような熱のある演奏と、重たいリフ、キレキレのヴォーカルが癖になる。

一方でスケールの大きさを感じさせる名曲#3「Minerva」や、前作のクールさを踏襲した#5「Deathblow」や、#11「Moana」、さらにシンセ一辺倒の異色な#8「Lucky You」などもあったりする。

アルバムを通して聴いてみると統一感は感じられないが、それはつまり自分たちの幅広い音楽性を出し惜しみせずに披露した結果と言える。まるで、前作で押し殺されていた感情や閉塞感といった、見えない枷から解放されたかのようである。

アルバムを出すごとに新たな音楽性を提示してくる彼らは、他のニューメタル勢とは一線を画し、とっつきにくいけど、深い世界観を作り出している。その中でもこの作品は、とても多角的に攻めている。

一見本作は不格好に聴こえるかもしれない。しかし、前作で完成した一つの到達点から、デフトーンズが次なる方向性を見つけるため、様々な可能性を示したアルバムだったように思う。ここから彼らがどういった道を辿ることになったのか…。それは次作「Saturday Night Wrist」を聴いて確認してほしい。

トラックリスト

  1. Hexagram
  2. Needles and Pins
  3. Minerva
  4. Good Morning Beautiful
  5. Deathblow
  6. When Girls Telephone Boys
  1. Battle-Axe
  2. Lucky You
  3. Bloody Cape
  4. Anniversary of an Uninteresting Event
  5. Moana

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