1.フラッシュバック
2.未来の破片
3.電波塔
4.アンダースタンド
5.夏の日、残像
6.無限グライダー
7.その訳を
8.N.G.S
9.自閉探索
10.E
11.君という花
12.ノーネーム

繊細な音色と爆音で聴かせる、ギターロックの名作

アジカンの1stアルバム。前作のミニアルバムは、ギターロックの衝動性を詰め込んだ、インパクトのある作品だった。しかも情緒を多く含んだ音使いやアレンジは、彼らの飛躍を大いに予感させた。そんな可能性を胸にリリースされた今作は、ギターロックを力強く繰り広げながら、街中の路地に潜む情緒を巧みに表現。彼らのアイデンティティがここにて確立されたように思う。ザクザク掻き鳴らす豪快なギターに終始圧倒されるも、後には美しいアルペジオの旋律などが心を揺さぶっていく。この作品でアジカンを知った人には十分すぎるほどの魅力を与えることだろう。

アジカンの代名詞とばかりに歪んだギターサウンドを轟かせる「フラッシュバック」と「未来の破片」で、早くも多くのロックファンをがっちり掴み、そこから彼らは、青くも表現豊かなギターロックを披露していく。中盤に到るまでに、段々とメロディに比重が置かれた楽曲が、夕焼けが現れるように登場していく。最後の「ノーネーム」が、街灯に照らされる夜の路地を想い起こさせる辺り、このアルバムは夕方から夜に向かっていく街並を表現したものなのかもしれない。この作品の世界観は、街並や夕焼けの表情ととにかく良く合うのだ。

それにしても「未来の破片」のリフの猛進ぶりは、とにかくカッコいい。直球で向かってくる攻撃的なサウンドは、アジカンのギターロックここにあり、と言わんばかりの名曲となっている。他にも跳ねるようなリズムの「自閉探索」や、滑るように疾走する「E」など、あくまでもシンプルに色々な表情を曲に与えている。一方で、静寂を壊さぬようにポロンと鳴るメロディが心地良い「無限グライダー」と「ノーネーム」は、夕焼け感や街角感(?)が特に良く表現されている本作の注目曲。やはり、こういう所に彼らの良さが現れている。しかも、サビや後半で走りだす曲構成もまた、彼らの音楽観にスッと入り込める要素の一つなのだろう。

ゴッチの熱の入ったヴォーカルは曲に力を与え、時に冷たい雰囲気を創り出し、とても魅力的。パワフルなギターサウンドに頭を振るのも良いが、バンドが作り出す情緒溢れる空気と世界観に浸るように聴いてみるのもまた一興。邦楽ギターロックにおいて、とある表現方法の頂を垣間見たような名作だ。


↑TOP