1.Extra
2.Cocoa Mousse
3.Rusty Transparency
4.Ethos 9
5.Moved by Air
6.The Sign
7.Pause in Herbs
8.Frame Out
9.Stretch
10.Endless Season

繊細かつダウナーなテクノ

1995年に発表された、Ken Ishiiの出世作にして代表作の一つ。

本作は何と言っても、Ken IshiiのアグレッシブなDJとはかけ離れた、とても穏やかでダウナーな作品であるということ。灯りが消えていく夜の都会と言った限定的なイメージが個人的に蘇る。テクノによる近未来感、夜景の中を駆け抜ける疾走感、穏やかな水面をイメージする静謐さが入り混じり、じっくり聴きたいテクノ作品となっている。

私的な話になるが、『Sunriser』が私のKen Ishiiとの出会いだった。そこではテクノの一般的なイメージをそのまま体現したビートと音の使い方が気に入り、彼にとても興味を持った。そこから傑作の評価が高い本作を聴いたものだから、意表を突かれた感じだった。

とはいえ、むしろ本作のほうが個人的には気に入ってしまったのも事実。都会のビル群を車内から眺めながら、思考を停止させてぼーっと本作を聴いたらきっと気持ちいいんだろうなーと、色々と妄想が膨らむ。

水が跳ねるような繊細な音色や空気のように漂う電子音など、心地よく感じさせるサウンドが、最小限の音で構成されている。それがとても自然で、疲れた身体にスーッと入り込んでくる。

特筆すべき楽曲はやはり『Extra』だが、これでも本作中の曲と比較すると、アグレッシブな部類。以降の曲はバックグラウンドで流していてもすんなり受け入れられる繊細な楽曲ばかり。ただ内省的な作品だけに人を選ぶのは仕方ないかもしれない。それでも曲のクオリティの高さや、他のクラブ系アーティスト(電気グルーヴ、オウテカなど)に影響を与えたという本作は、テクノファンとして是非とも味わってほしい作品である。

1.Sunriser
2.Let It All Ride
3.Organised Green
4.Mars Buggies
5.Time Flies
6.Beam Skywards
7.Perfect Memory
8.Reflexion
9.Free Energy
10.The Rescue
11.Cubitos de Hielo

テクノゴット、電子音楽の王道を往く

Future In Light以来、約四年ぶりのリリースとなったオリジナルアルバム。デトロイト・テクノのスタイルを軸に、本作は”王道”とも言えるテクノ・クラブサウンドを構築。風のように吹き抜けるシンセの心地よさ、4つ打ちで止めを刺す楽曲の構成。そしてカラフルで明るい音色をふんだんに使ったサウンド。表現の幅が尋常ではない電子音楽というジャンルで、”これぞテクノ”といったサウンドを本作で感じることが出来る。電脳空間に飛び込んだような、宇宙に飛び立ったような。多くの人が思うであろう、テクノに感じる印象そのままのサウンドが飛び込んでくるはずだ。なんといっても、ライブハウスでVJとなって客を縦ノリさせるKen Ishiiの姿が目に浮かぶ。

本作を製作するにあたっては、世界を巡って行なってきたDJツアーで感じたことが少なからず影響したという。Ken Ishiiは、各地を飛び回って行ったツアーの中で、テクノシーンに今ひとつ元気がないことを認識。その危惧から、しっかりとしたテクノ(おそらく”王道”であり”本来の姿”という意味だろう)をつくろうという思いが生まれ、これが本作を制作する根幹となったと言える。極めつけは「テクノをこのアルバムでやり切ろうと思った。」という彼の言葉。テクノアーティストKen Ishiiのアイデア、使命感、キャリアが極まった中でリリースされた、いわゆる集大成的な作品と言うことが出来るだろう。

テクノしすぎてるせいか本作を初めて聴いた印象は、電子音楽をかじった程度の自分にはとても味が濃く、思わず一歩引いてしまった。しかし次第に病みつきになり、同時に、いまいちはまりきれなかったテクノ・クラブサウンドの世界を深く知りたくなった。緻密に組み合わさったサウンドと曲構成、空間を広く感じさせる爽やかなシンセの音、踊れる要素を持ったクラブサウンド独特の心地よさ・・・。Ken Ishiiの代表作としては勿論、テクノ入門にももってこいの作品。この作品が好きになれれば、海洋のごとく広がった電子音楽の世界をより一層楽しめるようになると思う。

http://www.youtube.com/watch?v=uS2Ofnm_pH0

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