radiodept-clinging
1.Domestic Scene
2.Heaven’s On Fire
3.This Time Around
4.Never Follow Suit
5.A Token Of Gratitude
6.The Video Dept
7.Memory Loss
8.David
9.Four Months In The Shade
10.You Stopped Making Sense

春の到来を告げる、暖かいアルバム

ドリームポップ、シューゲイザーバンドThe Radio Dept.による3枚目のアルバム。

本作を知ったのは、私が新生活をするために引っ越しをした直後、それも春先だった。たまたま彼らが新作を出すということを知り、先行リリースされていた新曲#2「Heaven’s On Fire」を聴いて感動したのを覚えている。エコーを掛かりすぎた怠惰なヴォーカルに、鐘のようなシンセが合わさった、とても夢心地で暖かみのある世界観。暖かい陽気の時期にはこれ以上ない音楽であり、衝撃を受けたのを覚えている。

この曲に限らず、本作は一貫して日差しが降り注ぐかのような、外の暖かい陽気をパックしたような内容になっている。冬がようやく終わり、皆が待ち焦がれていた暖かい春の到来。派手さは全くといっていいほどなく、フワフワと辺りを漂うかのように淡々と曲が進んでいく。ヴォーカルにエコーがかかっていたり、他のサウンドもシューゲイザー特有の浮遊感を持たせたアプローチをしているので、全体的にサウンドの輪郭は曖昧。しかし、それがリスナーにとって日光浴をしているかのような心地よさがあり、暖かみや安心感、優しさを感じさせるのである。リスナーを日差しで包んでくれる温もりのある作品である。

本作は彼らにとって、シューゲイザーの色が薄れているアルバムということだが、シンセの音使いや楽曲のセンスは、他のバンドの追随を許さないほど素晴らしいものを持っている。とはいえギターを重ねた部分はまだ所々で聴くことが出来、表現の一つとして大事に使い分けていることが分かる。

思えばシューゲイザーに括られているバンドというのは、作品を重ねる毎に音はシンプルになったり、様々なアプローチを試みたりしているケースが多い。90年代は、時代の波に乗るために已む終えず、というのがあったが、今は様々なジャンルがしのぎを削る時代。シューゲイザーという一つの枠に収まっていたり、こだわっているのはあまりにもったいないのかもしれない。

↑TOP