reminiscentdrive-mercy
1.Life Is Beautiful
2.Leg Show
3.N.Y.C. Dharma
4.Serenade (To the Sound of Peace!)
5.The King and the Elephant
6.True Love…
7.Like Twins
8.Back to Morocco
9.Mercy Street
10.Codes of Silence
11.There’s Always Somebody to Say You’re Wrong!
12.Footprints
13.Two Sides to Every Story
14.New Jerusalem
15.Dawn Man Introducing I Want to Remember This Moment Always
16.Relief

強いトリップ感を持つ、アンビエントの快作

知名度はあまりないと思われるが、#1「Life Is Beautiful」のあまりの良さに惚れ込んで手に取った本作。ジャケット写真のような景色をボーッと見つめながら空想に浸ることができる#1は、アンビエントのお手本とも言える素晴らしい曲。

自身が景色に溶け込んでいくようでもあり、現実逃避の妄想の中をさまよっている様でもある。これほどの強いトリップ感を味わった作品は久しぶりだった。アルバムの統一された雰囲気も素晴らしく、美しいメロディとゆったりとした雰囲気は、想像力を強く掻き立てられる。

電子音だけではなく、音色の種類も豊富で、曲ごとに個性を持っているのも特徴である。アコギの音色が印象的だったり、ベースをメインに携えて重苦しい雰囲気を醸し出したり、単音のシンセサイザーの音色がどこまでも広がっていったり、アクの強い音色を自由奔放に飛び交わせたり…。なのにアルバムとして統一感バッチリ。粒ぞろいでありながら違和感なく聴き続けられるのは名作の証左である。

個人的にエレクトロ系作品の中では五本の指に入るほどお気に入りの本作。そのためA Reminiscent Driveについてもっと詳しく知りたいのだけれど、調べてわかったのはジェイ・アランスキーというフランス出身のエレクトロ奏者によるプロジェクト、ということぐらいだった。リリースされたのが1997年と20年ほど前というのも驚きだが、本作で使用されている音色や雰囲気は、時代に左右されないものだと思っている。

最近の活動は不明だが、2000年にもアルバム『Ambrosia』を出しているようである。エレクトロニカを愛聴している方には強くオススメできるアーティストである。

helloween-darkride
1.Beyond the Portal (Intro)
2.Mr. Torture
3.All Over the Nations
4.Escalation 666
5.Mirror Mirror
6.If I Could Fly
7.Salvation
8.The Departed (Sun Is Going Down)
9.I Live for Your Pain
10.We Damn the Night
11.Immortal
12.The Dark Ride
13.The Madness of the Crowds

ダークだけど魅力は健在の名作

94年にヴォーカリストがアンディ・デリスに変わってから4枚目となった、2000発表の作品。個人的にハロウィンは本作で初めて聴き、それ以降もアンディ・デリスがヴォーカルの作品ばかり聴いていたので、逆にバンドの全盛期にマイクを取っていたマイケル・キスクの作品は、あまり分からなかったりする。(なんで全盛期の作品を聴かないんだ、というツッコミは置いといて…)

スコーピオンズと並び、ドイツ産ヘヴィメタル(ジャーマン・メタル)の代表格となるバンドで、その中でも現在に至るまでコンスタントに作品を生み出し続けている、バリバリ現役のバンドである。恐らくドイツでは国民的人気があるのではないかと思う。また、メロスピの元祖とも言われ、ハイトーンのヴォーカルと馴染みやすいサビ、そしてスピード感のあるサウンドは、特に北欧地方のメタルに大きな影響を与えたのではないかと思われる。

さて、そんな特徴・功績を持つバンドだが、2000年に突入してリリースされた本作『The Dark Ride』は、スピード感よりも重量感を意識した、重たいリフが印象的な楽曲が目立つ、いわゆる”異色な作品”となった。テーマとして闇や黒っぽいものをイメージしていたのか、曲から受ける印象もそのようなものが多い。ジャケットに描かれているように、まさに黒く染まったハロウィンと言った作品だった。

#4「Escalation 666」、#5「Mirror Mirror」辺りは、ギターを重心を落として引いているさまが想像できるほど、スピード感が廃された重々しい仕上がり。個人的には好きだけど、おそらくファンには受け入れがたい曲ではないかと思う。シングル・カットされた#6「If I Could Fly」も哀愁漂い今までにない雰囲気を作り上げている。ただ、新たなアンセムとなった#2「Mr. Torture」#3「All Over the Nations」は、スピード感もあって非常にカッコいい代表曲だし、#12「The Dark Ride」のような9分近くに及ぶドラマティックな曲も健在である。

こうしてみると、アルバムの前半は今までのハロウィンらしさを残しながらも黒さを見せていき、アルバムを聴き進んでいくうちに本作のダークな魅力で覆い尽くす、と言った流れを意識したのかな、なんて思ったりする。

今までのファンからは不評のようで、とても地味なイメージがついてしまっている気がするのだが、個人的には本作はお気に入りの一枚である。ヘヴィなサウンドやダークな雰囲気で新たな魅力を生み出しつつ、キャッチーなサビによる聴きやすさも残している。昔と今との魅力の共存をさせるのがとても旨いということなのだと思う。あと個人的には、本作のギターサウンドの質感がとても心地よいのもお気に入りの理由の一つでもある。

kraftwerk-tourdefrance
1.Prologue
2.Tour de France Étape 1
3.Tour de France Étape 2 (Continued)
4.Tour de France Étape 3 (Continued)
5.Chrono
6.Vitamin
7.Aéro Dynamik
8.Titanium
9.Elektro Kardiogramm
10.La Forme
11.Régéneration
12.Tour de France

普遍的なテクノ

結局行き着くのは始祖の存在なのかもしれない。
1974年にリリースされた『Autobahn』で電子音楽の道を切り開いたKraftwerk。そして彼らの影響を受けた数多くのアーティストが次の時代を作り、様々なジャンルへと派生し、電子音楽は進化し続けてきた。そんな流動的なシーンに、約17年ぶりとなる新作『Tour de France Soundtracks』を投入した。

『人間解体』しか聴いていなかった身としては衝撃的というか、Kraftwerkのイメージを大きく変えさせられた作品である。本作を知ったきっかけは#2「Tour de France Étape 2」を聴いたことによるのだが、ここまで心地よいサウンドをすんなり聴かせることができるグループだったのか、と驚いたものである。そして往年の冷めた雰囲気も手伝って、非常にクールな仕上がりの作品となっている。正直、テクノを知らない人に最初に聞かせてもいいと思うほど聴きやすいし、カッコいい。

本作は、有名な自転車競技”ツール・ド・フランス”が100週年を迎えたことを記念して制作されたもの。Kraftwerk自身もサイクリングを体力づくりの一環で行なっていた時期があったらしく、1983年にはシングル「Tour de France」をリリースしている。本作ではその曲がリメイクされ、#1「Prologue」から#5「Chrono」にかけて組曲として収録されている。それ以降も、浮遊感のある心地よいサウンドを優しく、そしてクールに鳴らし続けている。

The Chemical BrothersやUnderworldなどのクラブアーティストが人気を集める中、それを尻目に完全にインドアなテクノの世界観を貫いた本作。初期の始祖としてのテクノから、洗練された現代のテクノに進化し、古臭さを微塵も感じさせないのが素晴らしい。フワフワと漂うシンセの気持ち良さと、ヴォーコーダのカッコ良さが引き出された、Kraftwerkの新たな名作。今後、長く聴き続けることにも耐えうる普遍的なテクノの傑作として、多くの人に勧められる作品だと思う。

bjork-homogenic
1.Hunter
2.Jóga
3.Unravel
4.Bachelorette
5.All Neon Like
6.5 Years
7.Immature (Mark Bell’s Version)
8.Alarm Call
9.Pluto
10.All Is Full of Love (Howie’s Version)

彼女の歌声を引き出した代表作

ビョークのことを異星人としか思えない、という人がいる。それほどに彼女の佇まいというのは奇抜で、同じ人間とは思えないということなのだろう。衣装のような表面的な部分から、歌声、サウンド、言動、世界観まで、何から何まで規格外な女性シンガーであり、憂いの強い雰囲気も含め個人的に大好きなアーティストである。

本作『Homogenic』は三枚目の作品となり、充実した彼女のディスコグラフィーの中でも特に高い評価を獲得している。前作『Post』はポップな側面が強い作品だったが、本作では#2「Joga」に代表される、壮大かつ悲観的な世界観が展開されている。どの作品でも言えることだが、ビョークはリズムトラックや電子音などの打ち込みによるサウンドの使い方にこだわっているのがよく分かる。個人的に、彼女はエレクトロアーティストとしての側面がとても強いと思っている。

雰囲気がそれぞれ違う前作・前々作も好きなのだが、彼女の歌声をフィーチャーさせるために作り上げたような世界観の本作も素晴らしい。過去作のサウンドセンスと彼女の伸び伸びとした歌声が上手く合致し、荘厳かつ壮大で緊張感のあるアルバムとなっている。前述の#2「Joga」とともに彼女の代表曲となっている#4「Bachelorette」、#10「All Is Full of Love」は、仰々しいほどの美しいさを放っている。

他の楽曲も、静寂の中から不穏な音色と歌声がゆったりと漂ってくるような、張り詰めた空気感で展開されていく。#5「All Neon Like」は途中から太いリズムトラックが加わる、とても異質な曲。淡々としたバックのフレーズが癖になる#7「Immature」、力強い打ち込みと多くのコーラスが飛び交う#8「Alarm Call」などは、地味ながらもリピートしたくなる心地よい楽曲である。

ビョークの伸びやかで綺麗な歌声は素晴らしいが、時々ドスの利いた声を出したりシャウトしたりと、聴き手が想像つかないベクトルに突然向かい、ドキッとすることがある。そんな情緒不安定さもまた魅力的である。それは感性が鋭く繊細な表現にこだわる彼女ならではの表現方法なのだと思う。彼女の作品は、どれも聴き流すだけでは良さはわからないので、一曲一曲腰を据えてじっくり聴き、そのサウンドの細部まで味わって欲しいと思う。

sigurros
1.Untitled 1
2.Untitled 2
3.Untitled 3
4.Untitled 4
5.Untitled 5
6.Untitled 6
7.Untitled 7
8.Untitled 8

北欧の空気感を閉じ込めた音

Sigur Rosの出身であるアイスランドといえば雪国。冬となれば厳しい寒さと雪が襲う。我々の住む日本とは環境も文化も全く違う世界なのだが、本作の創りだす音楽は、そんな別世界に連れて行かれるような、素晴らしい雰囲気を持っている。

彼らの紡ぎ出す音はダイヤモンドダストのように美しく、いずれの楽曲も時が止まりそうなほどゆったりと進行する。そんな彼らの音楽は、曲が良いか云々を語るものでもなく、”故郷の風土を音に起こしたらこうなった”と言わんばかりの、アルバム全体を通しての雰囲気を楽しむような音楽である。一つの音を鳴らすだけで画になり、それは他のバンドではなかなか味わうことの出来ない音楽であると言える。

特に本作は特殊な作品となっており、まずアルバムと楽曲にタイトルがない。歌詞はアイスランド語だが、ヴォーカルは雰囲気をつくるために有る程度。そのため、個々の楽曲を解釈をするためのヒントは尽く廃されている。そもそもこのバンドは、音だけで伝える力が十分すぎるほどあるので、解釈云々を語るのも野暮というものかもしれない。音の力だけを最大限に活かし、圧倒的な世界観が構築された本作はとても神々しく、彼らの音楽性をとてもよく表していると言える。

曲単位で切り取るのは邪道だが、あえて好きな曲を選ぶとすれば、ベースの音が癖になる#2や、天に昇っていけそうなほどの耽美さをもつ#4、中盤から吹雪にように荒れ始める#8などである。ただ本作はアルバムの一体感を味わうものであり、8つの曲達が力を合わせて本作の完成度を上げている感じが良い。

聴くだけで異国の地にいる気分になれて、時期をも超越しその場は秋~冬になる。数少ない優しい音色の響きだけで圧倒的存在感を放つ8つの楽曲を内包する本作は素晴らしいと思うし、出会えてよかったと思えた作品である。音の持つ力と音楽の可能性を、とても強く感じさせてくれた、近年屈指の名作だといえる。

(さらに…)

malory-pearl
1.Floating
2.The Signs
3.Cache
4.Water In My Hands
5.Pearl Diver
6.Back to the Point (I’ve Started From)
7.Dragon In You
8.Secret Love
9.Tornado
10.Ajar Door (Live Version)
11.Sarah (3 Parts)
12.Take Me Down Pt.2
13.Space in Mind 2009
14.Trans Europe Express

ドイツ産シューゲイザーバンドの快作

シューゲイザーの王道を貫きながら、現代的な味付けで新鮮さを醸し出しているMalory。本作は2010年リリースの4thアルバムで、恐らく彼らのキャリアでも快作に位置づけてもいい作品である。

Marolyは、90年代中期から活動をしているようで、そこそこ長いキャリアを持つ。彼らの紡ぎだす音はシューゲイザーそのもので、とりわけSlowdiveの面影が色濃い印象である。神々しいフィードバックノイズ、粒立ちの良い洪水ギター、水平線の彼方へ消えていきそうな心地よいメロディー、男女混合の気だるいヴォーカル…。シューゲイザーのエッセンスをコレでもかと詰め込み、その魅力を存分に伝えてくれる、ネオ・シューゲイザーを象徴するバンドの一角である。

今までの作品は、ドローン、アンビエント色が強く、いわば雰囲気を重視している印象だった。しかし本作は、わかり易い曲展開やキャッチーなメロディがあって、非常に聴きやすい。バンドサウンドのみならずエレクトロ要素もふんだんに取り入れられており、バンドという形態を超えた幅広い音作りも魅力的。

#1「Floating」の心地よいイントロから段々と音が重なっていく感じが特に好きで、本作を知る切っ掛けとなった曲でもある。#2「The Sign」は、シュワシュワとした心地良いギターノイズがインパクト抜群で、シンプルで聴きやすい曲。後半の荒々しい畳み掛けはもはやシューゲイザーの定番で、恍惚となる。#10「Ajar Door (Live Version)」は8分に及ぶ大作だが、フワフワと海洋を漂う心地よさと、嵐に変わる豹変ぶりが交互に押し寄せる、もはや永遠に聴いていられる曲である。

今のシューゲイザーはこうなっているんだぞと、ネオ・シューゲイザーを語る上での指標の一つになりえる作品かもしれない。また、電子音楽の活発なドイツのミュージシャンらしい作品だとも思った。音による味付けも濃すぎず、雰囲気重視で作られているのも高評価。今後特に注目したいシューゲイザーバンドである。

tekken6
1.Two against the darkness(Opening)
2.Dist thins out(Character Select)
3.Edge of Spring(Mystical Forest)
4.Splashing casino(High Roller’s Club)
5.Ethno evening(Temple Grounds)
6.Cemetery
7.Death Fight on the Neon(City After Dark)
8.Fist Festival(Fiesta del Tomate)
9. Rustic Asia
10.YUKI(Manji Valley)
11.Only one Fight(Noh Theater)
12.G ~Blast ver.~(Fallen Colony)
13.Artificial Ruins(Urban War Zone)
14.Midtown Roars(Lightning Storm)
15.Tunnel Disaster
16.Karma(Electric Fountain)
17.Arisa(Anger of the Earth)
18.Yodeling in meadow hill(Hidden Retreat)
19.NANCY(Bonus Stage)
20.Blowin’ up the Enemy(Gargoyle’s Perch)
21.Sacred dark(Azazel’s Chamber)
22.Never Ending(Continue)
23.Game over(Game over)
24.Dust comp(Name Entry)
25.Staffroll -BR-(Staff Roll -BR-)
and more…

熱気のこもったクールなゲーム音楽

2007年に稼働開始、2009年にPS3ゲームとしてリリースされた鉄拳シリーズの正当なナンバリングタイトル。個人的に大好きなゲームシリーズで、一時期はキャラごとに戦術メモを作っていたくらいはまっていたこともある(戦歴は散々だったけど)。それぐらい奥深いゲームであり、近年は完成されたゲーム故に初心者お断りな雰囲気もあるが、一度魅力にハマってしまうと、かなり高い頻度で長い間付き合っていくことを余儀なくされるゲームである。

一見ド派手なイメージのあるゲームだが、実際はそれとは程遠く、戦略性の強いとても渋い作品である。派手なことをやっているようで、裏では瞬間瞬間で高度な読み合いが行われている。「一瞬で行われる対局」なんて言葉を何処かのサイトで目にしたが、まさにそのとおりだと思う。

音楽にもそのイメージが見事に反映されている。鉄拳6のストーリーが重苦しいということも関係しているのかもしれないが、派手なメタルギターサウンドを主軸にしながらも、緊張感であふれた楽曲に仕上がっており、一対一の熱い心理戦をもり立てる。#6「Cemetery」、#15「Tunnel Disaster」はまさにその真骨頂。最初はゴチャ付いているという印象があるかもしれないが、慣れてくるとコレほどカッコいい音楽はないとさえ思えてくる。

また、本作の音楽はゲーム内で散々耳にしてきたので、わざわざサウンドトラックで聴く必要はないと思っていたが、いざじっくり聴いてみると、カッコイイことカッコイイこと。確かに熱のこもったメタル調の楽曲が中心だが、涼し気なシンセで構成された曲、コミカルな曲、クラブ音楽などなど、過去の鉄拳シリーズにもあった幅広い音楽性も健在。様々なジャンルの音楽が混在した、聴くに耐えうる素晴らしいサウンドトラックだと思った。#16「Karma(Electric Fountain)」、そして#17「Arisa(Anger of the Earth)」は特に評価が高いが、個人的には、和風の音を強調してるのにメタルのサウンドをガンガン被せてくる#11「Only one Fight (Noh Theater)」が大好き。

涼しいサウンドが印象的だった鉄拳4辺りと比べると、熱気立ち上る音楽が多いが、時代を反映したボーターレスなサウンドが展開されている本作は、過去作と引けをとらない素晴らしい作品だと思う。

manual-azurevista
1.Clear Skies Above The Coastline Cathedral
2.Summer Of Freedom
3.Twilight
4.Tourmaline
5.Neon Reverie
6.Azure Vista

きらびやかな音像で作られた、壮大で大仰な世界

ヨーナス・ムンクのソロプロジェクト、Manualによる名作アルバム。

“エレクトロ・シューゲイザー”という切り口の特集で、必ずと言っていいほど取り上げられるのがこの作品。波のように寄せては返す曲展開、キラキラとしたメロディを存分に駆使し、リスナーを絶景の見える世界に連れて行く・・・。

Manualは、Slowdiveのコンピレーション「Blue Skied an’ Clear」に参加したことで名が知られるようになったエレクトロ奏者。その後、モールミュージックから1stアルバム「Until Tomorrow」をリリース。この時のサウンドはエレクトロニカ、IDMのド真ん中をいく作品で、こちらもエレクトロニカ愛好家には定番の作品となっている。ただ、Slowdiveのコンピレーションに参加したということからも分かる通り、彼もまたシューゲイザーの美的センスに魅せられた一人。本作のサウンドに行き着いたのは必然だったのだと思う。

デビュー時のコンピューターミュージックとは異なり、自然と寄り添う、暖かみのあるサウンドが印象的。波の音がサンプリングとして取り入れられていたり、リヴァーブの聴いた甲高いギターの音色が曲の輪郭を形成していたりと、非常に仰々しくて壮大。キラキラとしたシンセの音も、ギターの音に負けじど、全面に出てきており、結果的に層の厚いサウンドが創りだされ、神々しく鳴り響いている。また、冒頭でも述べた、寄せては返す曲展開も、自然の壮大さを大げさなほどに表現している。まるで水平線の彼方から音が飛んできているかのようである。

GuitarがMVBの影響が強いのであれば、ManualはSlowdiveの影響が強く反映されていると言ったところだろうか。Guitar共々エレクトロシューゲイザーの代表格として取り上げられるが、Manualはこの後アンビエント方面に傾倒していく。ヨーナスにとってシューゲイザーは、”美”を表現するための素材の一つ。”壮大”かつ”神々しい”世界を表現するため、エレクトロ奏者としていろいろな表現に挑戦しているアーティストである。

(さらに…)

bof-ost2
1.ブレス オブ ファイア V ドラゴンクォーター ~オープニングアニメーション~
2.はじまり
3.やさしい友だち
4.レンジャー基地
5.下層地区
6.リフト
7.そらをみにいく
8.勝利のうたげ
9.バイオ公社
10.オリジン
11.襲撃
12.廃物遺棄坑
13.強敵
14.ちいさな旅立ち
15.最初の決心
16.最下層区街
17.世を統べるもの
18.かなしい思い出
19.まえぶれ
20.危機、せまる
21.工業区
22.かなしい色
23.くるおしい心
24.きざし
25.後悔はない
26.やすらぎ
1.中層区街
2.放棄商業区
3.トリニティピット
4.おもかげを残して
5.ライフライン
6.上層区街
7.電力供給ビル
8.一瞬のよろこび
9.中央省庁区
10.遠い呼び声
11.再会のとき
12.あすを見失う
13.封印
14.エンディング
15.Castle・imitation (BREATH OF FIRE V DRAGON QUARTER)
16.銀の音色
17.掘れば掘るほど
18.ほほえんでいこう
19.ココン・ホレ
20.プロローグ
21.正しき道
22.今をぬけだして

地下世界という舞台を、意思の強さで彩る

2001年にPS2で発売されたダンジョンRPGの隠れた名作。そのサウンドトラックである。

もともとは音楽の良さに惹かれて手にとったゲームのため、プレイしながらも音楽の方に夢中になってしまい、結局我慢できずにサントラを買ってしまった。結果的にこのゲームに関しては音楽を聞いている時間のほうが圧倒的に長かったように思う。それほど大好きなサントラである。勿論ゲームもお気に入りなのだけれど。

このゲームは地下世界が舞台、物語もなかなかにダークで、難易度が高くて緊張感漂う雰囲気ということも有り、人を選ぶゲームだと言われている。現実で言う労働者階級に属する主人公”リュウ”が一人のか弱い少女”ニーナ”と出会い、その少女を救うため、禁忌である空(外の世界)を目指す、というのが本作の軸となるストーリー。その廃退的なフィールド、絶望的な立ち位置にいる主人公の心情を、大仰といえるほどの表現と繊細な音色で表現している、というのが今回の音楽の印象である。その繊細さは、もはや錆びた金属の臭い、湿った土の質感が感じられそうなほどである。

音楽制作は崎元仁がメインで担当。オーケストラに電子音楽を取り入れた、まるで映画のワンシーンのような壮大で大胆な作りの曲の数々は、本作とうまくリンクしている。特に戦闘シーンでの迫力ある音楽は、リュウの意志の強さ、プレイヤーが感じる”ここで負けてはいけない”という焦りを掻き立たせる。フィールドの音楽も素晴らしく、印象に残る曲だらけ。レンジャーとしての仕事をするために突き進む「リフト」、物語終盤を感じさせるダンジョン「電力供給ビル」など、物語の進み具合が曲にうまく反映されている気がする。

そして本作での曲で特に人気の高い「ちいさな旅立ち」。これからどうすればいいのかという絶望感な立ち位置の主人公の心境を表すと同時に、か弱い彼女をこれから守っていくという力強い意思も感じさせる、ピアノ主体の旋律が涙を誘う名曲。

明るい兆しが見えない中、果たしてこのゲームの登場人物で幸せになれる人間はいるのか。その世界での規範や秩序に抗い、絶望的な戦いを繰り返すこの物語は、悲しい出来事の連続だが、最後の最後には、それこそ最高のカタルシスを感じる素晴らしいエンディングが待っている。その場面を担当するのが、本作のテーマソングである鬼束ちひろの「Castle Imitation」である。

今までのブレスオブファイアシリーズと比べると、世界観が別物で、今まであったシステムが無くなったりと賛否が別れ、おまけに一般ウケしにくそうな世界観なども相まって、なかなかに窓口が狭い作品。しかも物語を進めるほど苦しくなるのでゲーム自体も人に薦めにくい。しかし、その切なく苦しい雰囲気を、音楽でここまで美しく壮大に表現してくれたお陰で、最後までプレイする気力がわいたものである。個人的には音楽ありきのゲームだったが、エンディングまで辛抱強くプレイすれば、”出会ってよかった最高のゲーム”に心変わりすると思う。音楽ともども是非手にとって頂きたいゲームである。

radiodept-clinging
1.Domestic Scene
2.Heaven’s On Fire
3.This Time Around
4.Never Follow Suit
5.A Token Of Gratitude
6.The Video Dept
7.Memory Loss
8.David
9.Four Months In The Shade
10.You Stopped Making Sense

春の到来を告げる、暖かいアルバム

ドリームポップ、シューゲイザーバンドThe Radio Dept.による3枚目のアルバム。

本作を知ったのは、私が新生活をするために引っ越しをした直後、それも春先だった。たまたま彼らが新作を出すということを知り、先行リリースされていた新曲#2「Heaven’s On Fire」を聴いて感動したのを覚えている。エコーを掛かりすぎた怠惰なヴォーカルに、鐘のようなシンセが合わさった、とても夢心地で暖かみのある世界観。暖かい陽気の時期にはこれ以上ない音楽であり、衝撃を受けたのを覚えている。

この曲に限らず、本作は一貫して日差しが降り注ぐかのような、外の暖かい陽気をパックしたような内容になっている。冬がようやく終わり、皆が待ち焦がれていた暖かい春の到来。派手さは全くといっていいほどなく、フワフワと辺りを漂うかのように淡々と曲が進んでいく。ヴォーカルにエコーがかかっていたり、他のサウンドもシューゲイザー特有の浮遊感を持たせたアプローチをしているので、全体的にサウンドの輪郭は曖昧。しかし、それがリスナーにとって日光浴をしているかのような心地よさがあり、暖かみや安心感、優しさを感じさせるのである。リスナーを日差しで包んでくれる温もりのある作品である。

本作は彼らにとって、シューゲイザーの色が薄れているアルバムということだが、シンセの音使いや楽曲のセンスは、他のバンドの追随を許さないほど素晴らしいものを持っている。とはいえギターを重ねた部分はまだ所々で聴くことが出来、表現の一つとして大事に使い分けていることが分かる。

思えばシューゲイザーに括られているバンドというのは、作品を重ねる毎に音はシンプルになったり、様々なアプローチを試みたりしているケースが多い。90年代は、時代の波に乗るために已む終えず、というのがあったが、今は様々なジャンルがしのぎを削る時代。シューゲイザーという一つの枠に収まっていたり、こだわっているのはあまりにもったいないのかもしれない。

royksopp-understanding
1.Triumphant
2.Only This Moment
3.49 Percent
4.Sombre Detune
5.Follow My Ruin
6.Beautiful Day Without You
7.What Else Is There?
8.Circuit Breaker
9.Alpha Male
10.Someone Like Me
11.Dead To The World
12.Tristesse Globale

ゲストヴォーカルをフィーチャーしたポップなエレクトロニカ

Royksoppの2ndアルバム。全ての人が同じ解釈をする音楽なんてあるのか、それとも音楽とは聴く人の解釈によってクリエイトされるものなのか。そういった彼らの疑問が、タイトルとして投げかけられているという本作。ヴォーカルが組み込まれたキャッチーな作りと、冷ややかで透明感のあるエレクトロサウンド。そして強いビート・パーカッションに胸躍るクラブサウンド。これらの対比が絶妙で、万人の音楽ファンがRoyksoppに興味をそそられるというのもうなずける。

本作では個性的なゲスト・ヴォーカルを数人招き、曲の至る所でその美しいヴォーカルを披露する。前作以上にヴォーカル・トラックの魅力を重視した内容だと思われ、冷たい質感のサウンドにクールな歌声が溶け込んでいく楽曲の数々には、心地よさを覚えずにはいられない。中でも#2「Only This Moment」が素晴らしく、夜空を見上げて宇宙に想いを馳せるかのような、壮大で輝かしいトラック。他にも、ズッシリと重たいビートとベースがとてもカッコイイ#5「Follow My Ruin」、映画のハイライトのような大曲#9「Alpha Male」など、幅広いリスナーのツボをおさえたカラフルな楽曲の数々は魅力満載だ。

情緒的で冷ややかなメロディ&ヴォーカルと、熱いクラブサウンドとの組み合わせ。さらにインストにこだわらずヴォーカルを積極的に乗せてポップに仕上げる手法・・・。まさに北欧アーティストのセンスが最大限に活かされたサウンドだと思った。また、本作を聴けば、彼らが一つの型にハマるつもりは無いことも感じることが出来るはずだ。今後の作品に大いに期待を抱かせることにもなった、前作からの躍進を感じさせる一枚。

http://www.youtube.com/watch?v=qz-nhcfTfWQ

vines-visionvalley
1.Anysound
2.Nothin’s Comin’
3.Candy Daze
4.Vision Valley
5.Don’t Listen To The Radio
6.Gross Out
7.Take Me Back
8.Going Gone
9.Fuck Yeh
10.Futuretarded
11.Dope Train
12.Atmos
13.Spaceship

1~2分の真剣勝負

The Vinesの3rdアルバム。おそらく本作を聴いた人が真っ先に感じるのは、曲の作りがとてもあっさりしている、ということだろう。その簡素な作りは徹底していて、黒いジャケットやモノクロのPVなどにもそれは表れている。とにかく本作を取り巻くものがとことんまであっさりしていて、まるでリスナーに深入りされるのを拒んでいるかのようにも感じられる。もしくは、部分的に良いメロディが沢山浮かび、それらを活かすには単純な作りがベストだと考えてのことなのかもしれない。

まず、収録時間が約32分と非常に短く、一曲一曲が一分~二分の曲ばかり。1stで感じた、クレイグの精神不安定さがもたらす危険なサウンドは減ってしまったが、口ずさみやすい楽曲の良さも手伝い、非常に聴きやすい作品に仕上がっている。全体的に穏やかなギターロックが多くて曲の振れ幅はそれほど感じず、スピーディーにアルバムは流れていくが、その波はとても優しい。中でもアコースティックなサウンドの4#「Vision Valley」、8#「Going Gone」はヴァインズの曲の中でも特に美しい。もちろん6#「Gross Out」や、9#「Fuck Yeh」のように、噛み付くような荒々しさを持った曲もあるが、今回は口ずさみやすいギターロックとスローテンポの曲が印象的だった。

バンドは、デビュー作で早々に注目を浴びてしまったがために、以降の作品を作るにあたり過度のプレッシャーを感じただろうし、クレイグの病のこともあってバンドも存続が危うい状況であった。想像するに、彼らは前作の2ndで早くもマンネリを感じて、今回新たにこのような作風になったのかもしれない。本作に深みや斬新なサウンドは無いけれど、ギターロックのかっこ良さと鮮やかさをリスナーに叩きこませるには十分のアルバムだ。

(さらに…)

mum-finally
1.Sleep/Swim
2.Green Grass Of Tunnel
3.We Have A Map Of The Plane
4.Don’t Be Afraid, You Have Just Got Your Eyes Closed
5.Behind Two Hills.A Swimmingpool
6.K/Half Noise
7.Now There’s That Fear Again
8.Farawat Swimmingpool
9.I Can’t Feel My Hand Anymore, It’s Alright, Sleep Tight
10.Finally We Are No One
11.The Land Between Solar Systems

森の音楽隊

Mumの2ndアルバム。今回は、同郷のシガーロスが在籍していたことでも知られるFat Catからのリリース。彼らの作風についてだが、絵本のようなジャケットが分かりやすく示している。…まるでおとぎ話の一端を表現したようなその世界観。ライブを見るとわかるが、彼らはチェロやアコーディオンといった、まるで楽団のような形体で演奏を繰り広げており、その存在そのものがそのままサウンドに現れていると言ってもいいだろう。本作は言うなれば、森の中の小人の音楽隊が創り上げた、とても穏やかで可愛らしい物語。

電子音の浮遊感もさることながら、アコーディオン、管楽器などの生楽器を巧みに取り入れ、暖かみのある音を構築しているのが特徴。他にも、グラスを爪で叩いた音色や、震えるような細かいノイズなど、可愛らしい音色がサウンドの至る所からひょっこりと顔をのぞかせる。こういう細かい音色が耳をくすぐるのがたまらない。極めつけは幼女のような双子姉妹の歌声で、これがまた可愛らしさを際立たせる。

北欧の情景を思い浮かばせるゆったりとした音楽性は、同郷のシガーロスに近い部分があり、好きな人はきっとハマると思う。ただし、暖かい雰囲気を押し出している辺りに、シガーロスとの違いを感じさせる。一音一音を大切に紡ぎ出す彼らのサウンドは”暖かい””可愛らしい”といった言葉に尽きる。聞く度に優しい気持ちになり、心が落ち着く名作。

guitar-honeysky3
1.Escape
2.Honeysky
3.I Swim Alone
4.Love Is Slow
5.Lake Slow
6.Free
7.Song For A Dog
8.Moonlight Makes Me Transparent
9.Hearetogether
10.Smile!

奥行きのある轟音で空を仰ぐ

Guitarの2ndアルバム。エレクトロとシューゲイザーをブレンドさせた前作は、ネオ・シューゲイザーの流れを作ったと言っても過言ではない作品であり、高評価を博した。そんな名作を創り上げた彼らが次に放ったのは、より厚みを増した轟音と、静謐なフォークトロニカとの対比が極端な、不思議なアルバム展開を繰り広げる本作である。

というのも、楽曲の配置の仕方である。偶数トラックには延々と続く轟音中心の楽曲が配置され、奇数トラックにはアコースティックな音色を淡々と紡ぐ、いわば小休止を思わせる楽曲が配置されているのである。言うまでもなく本作の目玉は、偶数トラック②④⑥辺りの轟音中心の楽曲で、これらの音の厚みはもはや前作以上。空を覆うかのようなこのサウンドは、個人的に前作よりも好みだ。ただ、それ以上に前作と変わったなーと思わせたのは、まるで狭い部屋から外の世界に飛び出したように、より生き生きとした雰囲気を感じさせたところ。隔離させた世界観がまるでマイブラのLovelessのようだった前作と比べ、草原を目の前にして限りなく広い世界観を得た、というのが本作の個人的な印象である。

本作を象徴する④⑥は共に7分以上、延々と同じフレーズで展開される曲ながら、前作以上の心地良さと壮大さを与えてくれる、必聴のナンバー。他にもエレクトロが全面に出た穏やかな⑨も人気が高い。ほかの静謐な奇数トラックも、穏やかなアルバムの雰囲気がよく出ているのが良い。アルバム全体としては、ジャケット写真のような海岸沿いのカフェのイメージにピッタリの作品となった。

ulrichschnauss-strangely
1.Gone Forever
2.On My Own
3.Letter from Home
4.Monday – Paracetamol
5.Clear Day
6.Blumenthal
7.In All the Wrong Places
8.Strangely Isolated Place

見出し3

Ulrich Schnaussの2ndアルバム。宅録によって生み出された、テクノ・エレクトロニカサウンドの作品で、エレクトロ・シューゲイザーと呼ばれる音楽の代表的アルバム。自然の中を吹き抜けるような清々しさと心地良さ、ふわふわしたメロディはまさにスロウダイブのそれであり、アンビエントの魅力も大いに詰まった一枚だ。

静寂を彩るように、優しくふわふわとしたメロディが頭の中に溢れていく、アンビエント調のサウンドが最大の特徴。打ち込みによるメロディのおかげで音が非常にクリアであるため、耽美な雰囲気が良く引き立っている。ずっとこの心地よさに漬かっていたいと思わせるサウンド…、これこそがドリームポップ・シューゲイザーからの影響なのだろうか。大半の曲の中盤では、音の重ね掛けが増えて音のうねりが激しくなり、心地よさが増幅していく。おまけに耳を劈くメロディも顕在であり、まるで空を仰いでいるような気分にもなってくる。代表曲②のシンプルな構造の曲では、心地よいメロディとその周りのうねるノイズから、エレクトロニカとシューゲイザー双方の魅力を分かり易く堪能できる。

この作品を聴き始めた当初は、シューゲイザーと言うよりは、エレクトロニカに意識がいっていたため、その印象がとても強かった。実際それは間違いではないと思うが、やはり本作にはシューゲイザーがしっかり息づいていた。あちこちから主張してくる的確なノイズと響き渡るサウンドが聴こえてくるあたりがそれをしっかり匂わせる。エレクトロニカの本質はよくわからないが、個人的にはこのような作品がエレクトロニカのスタンダートだと思っていただけに、今後はこういったサウンドがエレクトロ界を席巻していくかも、なんて予感が渦巻いている。

rumskib
1.Heats on Fire
2.Springtime
3.Dreampoppers Tribute
4.Where Are The Flowers
5.Ferris Wheel Blackout
6.Think Eyes Away
7.You’re My Japan
8.Sneak
9.Crucial Love games
10.Ovation Outsider
11.Girl Afraid
12.Love At First Sight

絶景を観に行くアルバム

Rumskibの1stアルバム。男女デュオによるネオ・シューゲイザーバンドのデビューアルバム。とにかく、マイブラやコクトーツインズを思わせるサウンドが印象的で、そこにエレクトロ要素も加えたことで、ジャケットのような耽美な世界観が構築されている。絶景を眺めているかのようなこの世界観は、まさに水平線の広がる海岸で夕焼けを眺めているかのよう…。

様々なサウンドや音色がぶつかり合っているためか、全体的にごちゃごちゃとしてるように感じてしまうかもしれない。しかし、轟音のフィーバックノイズに、水しぶきが弾けるようなキラキラとしたメロディ。さらにはエリザベスフレイザーのような透き通った冷たいヴォーカルが、シューゲイザーの恍惚感を存分に生み出しており、とても気持ち良かった。壮大な雰囲気を醸しだす①が特に素晴らしく、このバンドの魅力が凝縮されていると言っても過言ではない名曲。他にも、アグレッシブに攻める⑧や、静けさ漂うインストも数曲収録されており、アルバムとしても綺麗な流れが出来ている。

シューゲイザーの様々な要素を内包している点は素晴らしいが、音が散らかっている印象が最後まで抜けなかった。この点を改善すれば、とてつもなく素晴らしい作品が生まれるのではないかと思っている。 バンドサウンドからエレクトロニカまで幅広くサウンドを取り込むラムズキブは、今後の活躍から目が離せないバンドの一つだ。

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