nirvana-nevermind
1.Smells Like Teen Spirit
2.In Bloom
3.Come As You Are
4.Breed
5.Lithium
6.Polly
7.Territorial Pissings
8.Drain You
9.Lounge Act
10.Stay Away
11.On a Plain
12.Something in the Way

完成されてしまったアルバム

もはや説明不要、90年代はおろか、ロック史を代表する名作「NEVERMIND」。本作、そして本作に収録されている#1「Smells Like Teen Spirit」のリリースは、それまでのロックシーンが一瞬にして変わってしまう出来事であった。それはまさに事件とも言えるものだったと思う。

NIRVANAのブレイクをきっかけにグランジブームが巻き起こり、インディーロックバンドがシーンを席巻。そして革新的で社会的なバンドが次々と登場する、オルタナティブロックの下地をも作ってしまったのである。というわけで、90年代の音楽はこのアルバムなしには語ることは出来ない。「NEVERMIND」がリリースされた1991年は、歴史的名盤が数多く発表され、ロックシーンの中でも特に重要な年に位置づけられているのだが、本作の重要度はその中でもトップに君臨するほどだと思う。

これだけの影響力と支持を誇る作品ではあるが、当の本人たちは、本作の大ヒットには快く思っておらず、むしろ否定的である。それはアンダーグラウンド志向で行ってきたカートにとっては、自身に対する大きな裏切りとなり、名声による重圧も相まって、この辺りからカートの精神は不安定になっていく。

NIRVANAはそのアンダーグラウンド志向の強さから、70年代のパンクを土台にSonic YouthやPixiesのような音楽を目指していた。しかし本作でポップな路線に向かったこと、当時の冷えきったロックシーンに求められたことなどが引き金となり、幸か不幸か爆発的なヒットにつながったと言える。

前作「Bleach」は、お金をかけずに作られたローファイなサウンドと重層な音が楽しめるのだが、本作はプロデューサーの意向もあり、前述通りとてもポップで綺麗にまとまっており、耳馴染みの良い作品になっている。それはロックファンのみならずとも聴けるものであり、幅広く支持された大きな要因である。

#1を筆頭に#5「Lithium」など、サビとのメリハリがある曲は、非常にシンプルながら聴きやすく、本作の魅力を担っている二曲である。ただ、彼ららしいのは#4「Breed」、#7「Territorial Pissings」、#10「Stay Away」といった、ひたすら駆けまわる荒々しい曲だろう。とはいえ、これらも奇をてらう展開は避けており、とても聴きやすい。

本作は、悪い言い方をすれば”作られた”作品である。「NEVERMIND」は、完成されている作品で出来が良いのは言うまでもないのだが、彼らの真の魅力はアンダーグラウンド故の”未完成”な部分にあると思う。そのため、本作をきっかけにNIRIVANAを聴き始めた方には前後の作品も是非聴いてもらいたい。

nirvana-inutero
1.Serve The Servants
2.Scentless Apprentice
3.Heart-Shaped Box
4.Rape Me
5.Frances Farmer Will Have Her Revenge On Seattle
6.Dumb
7.Very Ape
8.Milk It
9.Pennyroyal Tea
10.Radio Friendly Unit Shifter
11.Tourette’s
12.All Apologies

アンダーグラウンドへの回帰

NIRVANAにとって本作「In Utero」の制作は、アンダーグラウンド志向を取り戻す作業だったに違いない。というのも、前作「NEVRMIND」の大ヒットは、彼ら(特にカート・コバーン)が望んだものではなく、むしろ自らの理念に反してしまったと、自責の念にかられることになってしまう。結果、その反動で生み出されたのが、この「In Utero」なのだと思う。

本作は通算3作目にあたる作品であると同時に最後のオリジナルアルバム。プロデューサーにスティーブ・アルビニを迎えて制作されたことで、メジャー志向のサウンドは衰退し、売上も前作には程遠い結果になってしまったが、コレは本人たちによる「アンダーグラウンドへの回帰」をテーマに沿って制作されたためである。

その結果、暗い雰囲気や内面に向かう力強さが強調され、鋭利なサウンドで切りつけるかのような、非常に攻撃的な作品に仕上がっている。Bleachほどではないだろうが、NIRVANAの核心に近いサウンドが聴ける作品だと思う。

ローファイじみたギターノイズがこれでもかと押し寄せる様や、心臓をえぐるかのような迫力のあるドラミングとベース音のインパクトが凄まじい。気だるく歌いながらも時に咆哮するヴォーカルのカッコ良さは言わずもがなだが、情緒不安定さに拍車をかけ突進してくるサウンドの威圧感は、本作ならではといえるだろう。

このような作風なので前作が気に入っていたファンには敬遠されることになってしまったが、彼らにとってはこれでいいのだろう。個人的にも聴いていて感情を揺さぶられ、興奮するのはやはり本作。

https://www.youtube.com/watch?v=CPXny2MIe8Q

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