出身:イギリス – オックスフォード
期間:1993-2010

Supergrassは95年のブリッドポップ全盛期にデビューしたバンド。グランジバンドを見下すように元気な楽曲、若いながらとても卓越した音楽センスが人気を呼び、たちまちチャートを賑わす存在となった。それからというもの勢いは衰えず、アルバムごとに音楽性を大きく変えつつ、質の高いポップな良作を作りあげてきた。

ブリッドポップから生まれたバンドとしては数少ない生き残りであったが、2010年についに解散。UKを代表するバンドとして長いこと愛されていたバンドが、ついにその幕を下ろした。

supergrass-coco
1.I’d Like to Know
2.Caught by the Fuzz
3.Mansize Rooster
4.Alright
5.Lose It
6.Lenny
7.Strange Ones
8.Sitting up Straight
9.She’s So Loose
10.We’re Not Supposed To
11.Time
12.Sofa (Of My Lethargy)
13.Time to Go

みんな大好き、愛すべきブリットポップ

“みんなが二番目に好きなバンド”…自分たちのことをそんな風に表現したこともあった彼ら。ただこの言葉は、自分たちの存在感・人気を上手く言い当てたものであるように思う。1995年のデビューから2010年の解散に至るまで、作品を出すごとに深化を遂げていき、常に第一線で活躍してきた安定感のある活動履歴は、他のバンドマンからすれば非常に理想的なものであったと思う。英国では非常に高い人気を誇っていた大物バンドであったにもかかわらず、そんな雰囲気は全く見せていなかった(アクモンの前座を務めたこともある)。良い音楽だけを謙虚にリスナーに届けてくれた、とても愛すべき存在である。

そんな彼らのキャリア第一作目としてリリースされたのが、この『I Should Coco』。本作は、ヒット曲#4「Alright」が象徴するように、底抜けに明るくて元気な作品である。かき鳴らされるギターサウンド、力強いドラムとベースが芯の太い演奏を繰り広げており、アルバム内を軽快に駆け抜けていく。そのパワフルさとスピード感は、もはやパンクロックにも匹敵するほどである。さらにオルガンの跳ねるような音色が古風なロックの味を作り出し、これが彼らの特徴の一つともなっていく。そしてなんといっても外せないのはヴォーカルで、その野性的な歌声は胸がすくほど気持ち良い。これらのサウンドが一体となり、スリーピースながらも迫力のあるサウンドを作り上げている。

彼らは若干20歳前後という年齢で本作を作り上げ、瞬く間にブレイクを果たすこととなったが、デビュー作にふさわしい初々しさと勢いが詰め込まれており、ブリットポップ狂騒に一役買ったとも言える名作である。ただ個人的に凄いと思っているのは、冒頭で記したとおり、安定感のあるキャリアである。なので、彼らを知った方は本作で終わらず、以降の作品もぜひ聴いてもらいたいと切に願う。特に『Road to Rouen』を聴けばきっと驚かれるに違いない。キャリアのスタートダッシュが良かったし、その後リリースする作品はいずれも評価されてきたからこそ出来た芸当なのかもしれない。

このように、作品を重ねるごとに懐が深くなっていった彼ら。ただ、本作に関してはネガティブな感情は何一つ無く、”嫌なことは忘れてはっちゃけちゃおう!”という、ただ一点に神経が注がれている。なので本作を聴く際は難しいなど考えず、ただおバカになって愉しめばいいと思う。

supergrass-money
1.In It for the Money
2.Richard III
3.Tonight
4.Late in the Day
5.G-Song
6.Sun Hits the Sky
7.Going Out
8.It’s Not Me
9.Cheapskate
10.You Can See Me
11.Hollow Little Reign
12.Sometimes I Make You Sad

勢いそのままに可能性を追求した、彼らの名作の一つ

Supergrssの2ndアルバム。UKロック界に新風を巻き込む衝撃的なデビューを果たし、たちまち人気を獲得した彼ら。今回は前作のパワフルなバンドサウンドを継承しつつも様々な楽器の音色を幅広く織り交ぜ、バンドの振り幅の大きさを世に知らしめた作品。これは本作から本格的に参加しているKeyboadのロブによる貢献が大きいようである。前作のパンキッシュで荒けずりだった部分が極力排除されたことで音がシャープになっているもポイント。地道ではあるが、着実に成長しているというのが見て取れる内容となった。

前述通り、本作から様々な楽器が取り入れられているということもあり、とてもバラエティに富んだ楽曲が揃っている。①と②では力強い演奏とともにダークな一面を見せており、③はジャズテイストを含んだにぎやかな曲に仕上がっている。真夏のビーチを駆け回るような⑥は1stとのつながりを大いに感じさせる曲で、個人的に特に好きな楽曲。などなど挙げていけばきりが無いが、シングルカットされた②④⑥は人気の高い楽曲なので是非聴いてもらいたい。

明るく振舞っていた前作と比べるとやや落ち着いた印象を持つのだが、後に出される作品に比べればまだまだ元気で若々しい。渋いサウンド選びをし始めた本作は後の作品との繋がりを強く感じさせる。次作はベテランバンドのような渋いアルバムとなるので、本作は簡潔に言ってしまえば1stと3rdの中間的なサウンドと言える。

(さらに…)

supergrass
1.Moving
2.Your Love
3.What Went Wrong (In Your Head)
4.Beautiful People
5.Shotover Hill
6.Eon
7.Mary
8.Jesus Came from Outta Space
9.Pumping on Your Stereo
10.Born Again
11.Far Away
12.Mama & Papa

風通しの良い最高傑作

Supergrassの3rdアルバム。デビュー当時の転びそうな勢いは前作以上に抑えられ、それによる大胆なイメージチェンジが話題となった作品。前作と比べると変化の大きさに驚くが、思わず手拍子したくなるようなノリの良さは失われていない。荒い部分を極端に抑えつつストリングスを強調させたことによって渋みが増し、精神的に大人になったことを公に発表したような作品。ギャズのヴォーカルについても、いつも以上に声色がよく変化する印象も受ける。彼らの職人的な音作りが顕著に現れており、音楽性の高さも知らしめることができた作品と言える。

本作はファンにとても人気のある①が収録されている。曲調がガラリと変わるのが印象的な名曲だ。他にも深化を感じさせる作りこまれた楽曲が揃っており、捨て曲は無いと言ってもいい。成熟を感じさせる内容とはいえ、前述通り若さを忘れないノリの良さがしっかり残されている。これがとても良かった。特に⑨に至っては体をくねらせて踊りたくなるほどである。と言いつつも、後半は単音のメロディーが染みるまさに渋い楽曲が揃っており、アルバム全体の完成度は高いといえるだろう。

アルバムの全体的な雰囲気としては、爽やかな風を感じるとても涼しげな作品という感じである。そのため、夏場に窓を全開にしたリビングでカーテンがはためく姿がとても良く似合う。楽曲のポップセンスも相変わらず素晴らしい。この作品が発表された当時はブリッドポップの勢いが既に沈静化していたものの、個人的に本作はスーパーグラスのポップセンスとサウンドクオリティが合致した最高傑作、と言えるアルバムである。

(さらに…)

supergrass-roadtorouen
1.Tales of Endurance, Pts.4, 5 & 6
2.St. Petersburg
3.Sad Girl
4.Roxy
5.Coffee in the Pot
6.Road to Rouen
7.Kick in the Teeth
8.Low C
9.Fin

渋みがかりすぎた彼らの新たな到達点

Supergrssの5thアルバム。彼らはこのアルバムの制作時、身内の死やスワッピング騒動などトラブルが相次いでおり、そのことが彼らの心境に少なからず影響を与えたのだろうか。本作はアコースティックなサウンドが目立つ非常に内省的な作品となり、ファンを驚かせることとなった。デビューしてから現在までに様々な音楽性を取り入れ、アルバムをリリースする度にリスナー驚かせてきたが、今回のアルバムについては彼らにとっても最も大きな変化だったのではないだろうか。

デビュー当時の特徴でもあった元気いっぱいなサウンドはもはや皆無で、ストリングスを前面に押し出したクラシカルな楽曲がとにかく印象的である。上品で落ち着いた雰囲気を醸しだす楽曲からは、イギリス人特有の素晴らしい音楽センスを感じるとともに、バンドの成熟具合をも窺い知ることが出来る。そして最終的には、西洋の町並みが頭に出てきたり、木造のカフェの店内で演奏している様を想像させる。英国の風を音に乗せて運んできてくれた作品、とは言えないだろうか。

トラック数は9曲と少なく、時間にして約35分。コンパクトに纏まっている性質上、とてもあっさりと聴けてしまえるが、どの楽曲も所謂スルメのような味わい深い曲ばかりなため、人によってはとても永く付き合っていける作品。3rd収録の「Moving」を彷彿とさせる大胆な曲展開が印象的な①と、ピアノとアコースティックなサウンドでゆったり聴かせる②は文句なしの名曲。

地味な印象が強いため、初めてスーパーグラスを聴く人にはおススメできないが、苦肉の末に作り上げた名作であるのは間違いない。彼らが活動10周年にしてようやくたどり着いた新境地は、とても大人びたものであった。それにしても渋すぎる(笑)。

(さらに…)

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