出身:アイルランド – ダブリン
期間:1984-19972007-

1991年にリリースされた「Loveless」がシューゲイザーの金字塔として、未だ多くの人の耳を虜にしているマイブラ。フォロワーも数多く生み出し、シーン与えた影響は計り知れないと言われている。

そのあまりのマイペースかつ完璧主義なケビン・シールズの制作っぷりも相まって、近年は神格化が進んでいた。しかし、2007年に本格的に活動を再開させ、ついに新作アルバム「mbv」がリリースされた!

mybloodyvalentine-loveless
1.Only Shallow
2.Loomer
3.Touched
4.To Here Knows When
5.When You Sleep
6.I Only Said
7.Come In Alone
8.Sometimes
9.Blown A Wish
10.What You Want
11.Soon

シューゲイザーの金字塔

My Bloody Valentineの2ndアルバム。彼らがこのアルバムの制作に取り掛かる頃は、後輩バンドによるシューゲイザーブームが過熱していた時で、それを察したケヴィンはそのブームを踏まえつつ「最高のアルバムを作る」と意気込んだ上でアルバムの制作に乗り出したそうだ。そしてこの作品に投じた金額は約20万ポンド、日本円にして約5000万円と言われており、当時所属していたクリエイションレーベルを倒産に追い込んだというのは有名な話である。

今更この作品を語るのも煩わしいのだが、シューゲイザーはここで極まったと言っても過言ではない。浮遊感たっぷりのギターノイズの洪水、閉鎖空間をグルグル回るように何回も繰り返すフレーズ…。ラブレスのサウンドは決まってこんな感じで形容されるが、的を射ているだけに他に例えようがない。そこに重なる涙を誘うような悲観的なメロディがバックの重層なサウンドと溶け込み、心地よさを増幅させていく。これは他のバンドには成しえなかったことであり、マイブラと後継バンドとの違いはココにあるとも言える。このとてつもなくサイケデリックな音空間は、聴くものの神経を夢の中へと誘い、一種の麻薬のように脳内の回路を狂わせる。

発表してから十数年経つものの今もなお輝きを失わない90年代の代表作であるとともに、シューゲイザーの代名詞ともなっているアルバム。ただ、彼らはこの作品で孤高の存在となってしまったため、他のシューゲイザーバンドとは別格と捉えた方が良いだろう。そのため、あまりの完成度の高さに後輩バンドは追いつくことは出来ず、あえなくシューゲイザーブームは終焉を迎えたと言われている。現在も数多くのフォロワーがラブレスの再現を試みているが、誰も追いついてはいない。

mybloodyvalentine-isntanything
1.Soft as Snow (But Warm Inside)
2.Lose My Breath
3.Cupid Come
4.(When You Wake) You’re Still in a Dream
5.No More Sorry
6.All I Need
7.Feed Me With Your Kiss
8.Sueisfine
9.Several Girls Galore
10.You Never Should
11.Nothing Much to Lose
12.I Can See It (But I Can’t Feel It)

平衡感覚が失われていく廃退的ノイズミュージック

My Bloody Valentineの1stアルバム。フルアルバムとしてはコレが一作目である。次作のイメージが強すぎるため本作に手を伸ばす人が少ないが、シーンに強いインパクトを与えたという意味ではこのアルバムも同等に評価されても良いはず。

ラブレスが足場の見えない浮遊感を表現しているならば、本作は歪んだ地面の上を必死で這い蹲るようなイメージだろうか。変則的な音や絶望感にも似た悲しいコーラス、実験的とも取れる多彩なノイズを聴いていたら、もはや音楽として成立しているかも疑わしくなってしまう。ノイズについては、耳障りの良い包み込むようなモノ(⑥⑨)や、粒の粗い刺々しいモノ(⑦⑩)、バックで妖しく鳴り響く不協和音まがいのモノ(②⑤)など多種多様である。暴れまわるドラミングなどもラブレスでは聴けないもので、①のオープニングに至っては鈍器で頭を殴られているような感覚である。

コンセプトをはっきりさせず、自分達の気に入ったサウンドを組み合わせたような作品にも見えるが、決して適当につなぎ合わせたわけではなく、実験的でありながら計算しつくされたとても完成度の高いアルバムである。「Loveless」以上に大衆に理解され難いサウンドであるが、ノイズまみれのサウンドをここまで音楽たらしめた彼らの技量には、もう頭が下がる思いである。


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