APOF-RoadEyes
1.Road Eyes
2.Flashlight Planetarium
3.Inside Out
4.Raphael
5.Echo Park / Infinite Delay
6.Wave Of The Future
7.So Naturally
8.Water From The Sun
9.Inspects The Evil Side

バンドサウンドを貫くニューゲイザー、待望の新作

マイケルフィーリックによるソロプロジェクト、Amusement Parks on Fire(以下APOF)の待望の3rdアルバム。

正しく”待望の”と言わざるを得ない、ニューゲイザーバンド4年ぶりの新作。フロントマンであるマイケルのセンスが溢れた前作『Out of the Angeles』は、往年のシューゲイザーサウンドを意識して制作されたそうで、コンセプチュアルな名作となった。これにより、APOFはニューゲイザーバンドの中で頭一つ秀でた存在となったと思う。

ニューゲイザーシーンは、エレクトロニカを組み合わせたグループが多い中、APOFはあくまでバンドサウンドを強調した、重量感のあるサウンドを貫いているのが魅力的。層を重ねた轟音ギターが空間を支配する様は何度聴いても圧巻である。

先行で公開された新曲#2「Flashlight Planetarium」は、2分ほどで駆け抜ける楽曲だが、同じフレーズを繰り返す、今までになくストレートでシンプルな楽曲。リフを弾いているときに身体を上下させているマイケルを見ていると、厚みのあるサウンドに押しつぶされそうになっているかのようにも見える(笑)それほどにサウンドに力強さを感じた。

上記のようなパワフルな曲から突如としてノスタルジックな楽曲(#3「Inside Out」)に切り替わるのは相変わらず。本作もこのように波の満ち引きのように起伏のあるアルバム構成になっており、前作同様アルバム全体を意識した内容となっている。間違いなく前作に引けを取らない名作となっている。

その他の楽曲としては、#8「Water From The Sun」がお気に入りで、コーラスのハーモニーが美しく、ギター音の波とともに包み込まれるように空間に鳴り響く。2分に渡るギターノイズのアウトロも心地よい。

待ちに待った新作をリリースした彼らの作品は、期待を裏切らないサウンドという印象で、良くも悪くも現状維持、といった感じだった。前作と今作で現在の音楽性をやりきった感もあったので、次作では大きな変化を遂げるんじゃないかと期待してしまう。

apof
1.23 Jewels
2.Venus In Cancer
3.Eighty Eight
4.Wiper
5.Vensosa
6.Asphalt
7.Smokescreen
8.The Ramones Book
9.Local Boy Makes God

粒の粗いダイヤの原石

APOFの1stアルバム。今や大所帯のバンドとなったAPOFも、元々はマイケルフィーリックによる単独ユニットとしてスタートした。このデビューアルバム制作も、彼一人の手によるもの。それだけでも凄いが、彼はこの作品リリース時点で弱冠18歳。すべての楽器を一人で弾きこなしたうえ、培ってきた音楽センスを詰め込んで生まれたこのアルバムに、彼の才能を感じずにはいられない。後の作品と比べると洗練されていない感じはあるが、これからの躍進を大いに期待させる作品となっている。まるでこれから磨かれていくダイヤの原石のように。

上記の逸話だけでも大いに関心を持たされるアルバムだが、驚くべきは、偶発的に轟音シューゲイザーサウンドを作り上げたことではないだろうか。それも、ほぼど真ん中の。・・・聞けばマイケルは、本作リリース当時、マイブラの存在をまだ知らなかったという。しかし本作を聴いた人々が口をそろえて語るのは”マイブラのサウンドを受け継いだようなシューゲイザーアルバム”といった感想。ギターノイズを何層にも重ねて作られた洪水のようなサウンドは、まさしくマイブラ直系である。近年、炭酸が弾けるかのような優しいギターノイズを奏でるシューゲイザーバンドが増える中、際立って迫力のあるギターサウンドを奏でているのがわかる。

静けさ漂うインスト1#「23 Jewels」の後、2#「Venus in Cancer」、3#「Eighty Eight」と轟音を駆使した名曲が続くが、この荒れ狂うギターノイズはまるで台風のようである。特に本作で好きなのは、うごめくような静かなギターサウンドで始まり、徐々にサウンドに厚みが増していく#4「Wiper」。焦らされるかのような展開がたまらない。また8分を超える大曲でもあり、聴き応えは抜群。

マイケルがプログレを好んで聴いていたのが影響しているのかもしれないが、4#「Wiper」に代表されるような起伏ある展開をみせる楽曲が多く、ポストロックに分類されることもある。この物語性のある大曲主義は、轟音ノイズギターサウンドと共に今後の作品にも受け継がれ、このバンドの特徴となっていくのだが、その基盤をこの時点で創り上げたことを評価したい。

apof-outangeles
1.Out of the Angeles
2.A Star Is Born
3.At Last the Night
4.In Flight
5.To the Shade
6.So Mote It Be
7.Blackout
8.Await Lightning
9.No Lite No Sound
10.Cut to Future Shock

轟音ノイズを巧みに操る、若き天才

APOFの2ndアルバム。ヴォーカルのマイケルが1st発表時までシューゲイザーの存在を知らなかったというのはやはり驚きだ。にもかかわらず彼らの音楽には、シューゲイザーの息吹がかかっていることがしっかり認識できるほどの魅力が備わっていたのだから、その潜在能力は計り知れない。それだけに心境が変化した上で制作された本作と前作を聴き比べてレビューしたかったのだが、前作を未聴のまま書かせて頂く。

オープニングを飾る①は、冒頭で星を眺めているような恍惚なメロディを聴かせ、後に眩暈にも似たフィードバックノイズと分厚いギターサウンドの波が押し寄せてくる、インパクト抜群の一曲。このアルバムを象徴するサウンドであるともいえる。嵐の如く吹き荒れるサウンドからは、マイケルの力の抜けた美声がのぞき、美しくコーラスもやってのけている。その後もパワフルでメランコリックな曲が続くが、③や⑥のように静謐でアコースティックなトラックも要所に配置されているため、本作は極端な二面性をも持っていると言える。その中でもアルバムは、一貫して”星の流れる夜空”のような雰囲気を保っており、それぞれが全体の雰囲気を壊さずにカッコよく、そして綺麗にシューゲイズしているように思う。

轟音フィードバックノイズをお腹いっぱい堪能でき、辺りに散らばる情緒的なメロディとしっかりした歌メロ(女性コーラス)がシューゲイザーの魅力を引き出す。迫力ある音からみなぎる力強さには、多くのロックファンも取り込めそうな可能性をもはらんでいる、とても素晴らしい作品。音量を上げて聴きたくなる一枚。他の人が仰るようにマイブラ好きは必聴です。

↑TOP