reiharakami-lust
1.Long Time
2.Joy
3.Lust
4.Grief & Loss
5.Owari No Kisetsu
6.Come Here Go There
7.After Joy
8.Last Night
9.Approach
10.First Period

風景と情感のエレクトロニカ

エレクトロニカの中でも、とりわけ情緒のある風景を想起させてくれるのがRei Harakamiの音楽。彼が創りだす、水の中にいるような、はたまた夕焼け時の街並みに溶けていくような柔らかい音像が大好きだ。またこの音色は、我々の日常にスゥーッと入り込み、情感にも訴えてくる。落ち込んだ時や、一人でボーっとしたい時などに、夜更け時にじっくりと聴くと、とてつもない心地よさを味わうことが出来る。

前作『Red Curb』にて注目が集まった彼が、次に放ったのが本作『Lust』。おそらくRei Harakamiの作品の中で最も支持されている作品。個人的には#6「Come Here Go There」を聴いて本作の虜になり、本作は未だに色んなシーンで聴いている。電車の車窓を眺めながらBGMとして聴いたり、気が滅入ることがあった時などの心の処方箋としてなど。

それにしてもこの力の抜けたフワフワとしたサウンドは、ありそうでなかった。おそらくこのセンスは日本人独自のものなのだと思う。海外の仰々しくキラキラした異世界感の強い作品に対し、Rei Harakamiは、日常生活に溶け込むような音を鳴らしている。

個々の曲については、派手さはないため、ボーっとしながら聴くのが良い。特に#2「Joy」#4「Grief & Loss」は同じフレーズを繰り返すが、それが心地よい。#5「Owari no Kisetsu」は本人が歌っているが、その淡々とした歌い口がまた良い。別格の美しさを放つ#6「Come Here Go There」以降の楽曲は、段々と灯が消え、夜の闇に溶けていくような雰囲気が漂いだす。このようにアルバムの前後で、雰囲気が変わってくるのも印象的だ。

2007年には「天然コケッコー」の音楽を担当しサントラも発表。他にも他アーティストとのコラボなどで活躍の幅を広げていたが、2011年に急逝。国内では数少ないエレクトロニカ・アンビエント系の名アーティストだっただけに、とても残念。

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