larc-ark
1.Forbidden Lover
2.Heaven’s Drive
3.Driver’s High
4.Cradle
5.Dive to Blue
6.Larva
7.Butterfly’s Sleep
8.Perfect Blue
9.真実と幻想と
10.What Is Love
11.Pieces (Ark Mix)

キャッチーな音色に包まれた、全盛期を象徴する音

新ドラマーにyukihiroを迎えて再始動した1997年。そこからの彼らの勢いは、今改めて考えてみても凄まじかった。それは「虹」に始まり、以降も短期間で怒涛のリリースが続きながらも、そのどれもが音楽的に高い評価を受けた。そして結果的に社会現象といえるほどにまで彼らの存在は大きくなっていった。

その”ラルク狂騒”の極みと言えるのが、1999年の『Ark』『Ray』同時リリース。チャートも1位と2位を独占。本作『Ark』に関しては、現在もなおラルク史上最高の売上を記録したアルバムとなっている。ちなみにアルバムを二枚に分けたのは、メンバー曰く”HEART以降のシングルを一枚に収めたら、ベストアルバムになってしまうから”だという。

本作はTetsuyaの曲が多く採用されていることからも分かるように、ポップでキャッチーな曲が印象的なアルバム。#2「HEAVENS’S DRIVE」、#3「Driver’s High」と熱気のある明るい楽曲で一気に引き込み、以降も大空を羽ばたくPVが印象的な#5「DIVE TO BLUE」や、ハワイアンテイストの#8「Perfect Blue」、暖かい陽気に誘われるような#10「What is Love」、幸福感に満ちたバラード#11「Pieces」と続く。このように今までにないほど開放的で明るい作品である。彼ら特有の怪しい雰囲気や、癖の強さをあまり感じさせないため、ラルクが苦手な人でも入り込める余地は十分にある。

ただ、他の作品に比べてアルバム曲の印象が薄い印象が未だにある。その理由としては、シングル曲のインパクトがどれも強い、というのが全てだろう。個人的には#9「真実と幻想と」はお気に入りなのだが、あまり話題にのぼらないのが残念。

この全盛期のラルクを私はリアルタイムで聴いていたわけではなく、後追いでこの作品を手にすることとなったのだが、ラルク初体験となった#2「HEAVEN’S DRIVE」を聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。聴き覚えのある曲だったこともあったが、こんなカッコいいバンドがチャートを賑わせ、社会現象を起こしていたという事実に興奮し、すぐにこのバンドの虜になった。このラルクとの出会いが、以降の私の音楽嗜好を完全に決めてしまったと言ってもいいくらい、私はこのバンドに対して強い思い入れを持っている。

そんな経験談から、初めてラルク聴く人には本作から入ってみることをおすすめしたい。Tetsuyaの楽曲が多いとはいえ、不穏な幕開けを告げる#1「Forbidden Lover」や、深淵に堕ちていくような#9「真実と幻想と」も聴けるため、なんだかんだ当時のラルクらしいサウンドを楽しめるのではないかと思う。

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syrup16g-hellsee
1.イエロウ
2.不眠症
3.Hell-see
4.末期症状
5.ローラーメット
6.I’m 劣性
7.(This is not just)Song for me
8.月になって
9.ex.人間
10.正常
11.もったいない
12.Everseen
13.シーツ
14.吐く血
15.パレード

優しい音色に囲まれたネガティブな世界

2008年に惜しくも解散してしまった、邦楽バンドの中でもひときわ陰の部分の表現に特化したロックバンド、syrup16g。本作は1500円という価格破壊が話題になった、メジャー三作目の作品。

個人的には本作収録の#2「不眠症」で彼らを知ったが、ここまでひどく陰鬱な雰囲気を醸し出すバンドが国内に存在していたことにまず驚いた。特に印象的なのは、このバンドの陰の部分を司っている、ネガティブな歌詞とヴォーカルのインパクト。歌詞は、様々な事柄をテーマにしているが重たいものが多く、時に毒も吐く。そんな暗い歌詞を、根暗なヴォーカルが溜息を付くように淡々と、そして時に激情しながら訴える。

この陰鬱な世界観を作り上げる演奏には、空間系のサウンドを多用し、非常にドリーミーな仕上がりとなっている。サウンドの軸となるアルペジオの美しさに惹かれ、かき鳴らされるギターの質感の優しさにほっこりさせられる、とても心地よいサウンドスケープが印象的。この輪郭の曖昧なサウンドは、シューゲイザーと共通する部分も多く、おそらく彼らもその影響を多分に受けているものと思われる。まるで、靄がかかった心の内を表現しているかのようで、孤独感や内省的な雰囲気に拍車をかける。

本作は、自分の内にこもってじっくりとその暗い世界観を味わいたいアルバム。中でも、つぶやきから始まって段々と高揚していき絶叫に至る#2「不眠症」は特に聴き応えがある。他にも、ライブ感の強い#1「イエロウ」、跳ねるようなリズムの#6「I’m 劣性」がお気に入り。一方で、サウンドの暖かみを活かした#8「月になって」、#15「パレード」のような美しい曲もあり、彼らの持ち味が生かされた作品だと思う。

実は彼ら、2014年に再結成を果たし、8月に新作「Hart」を発表。そこでも彼らのサウンドは変わっていなかった。知る人ぞ知るという絶妙な立ち位置で、これからも繊細な歌詞とサウンドを持ち味に素晴らしい作品を期待したい。

capsule-sugarless
1.Welcome to my world
2.Starry Sky
3.REALiTy
4.Sugarless GiRL
5.Catch my breath
6.Spider
7.MUZiC
8.Melting point
9.Sound of Silence
10.Secret Paradise

クラブミュージックの新たな入り口?

capsuleは、今やPerfumeのプロデューサーとしても有名な中田ヤスタカが、1997年から始動させているエレクトロユニット。本作は2007年2月にリリースされた8枚目となる作品。

Perfumeの存在からcapsuleに行き着いた方が多いと思うが、こちらはサウンド面を強調した作りになっており、歌もの主体ではない。それでも基本的な魅力は変わらず、クラブ系に明るくない方でも非常に聴きやすい作りになっているので、すんなりと入っていけるはず。

特に本作は、capsuleの作品では癖が少なく、聴きやすい部類に入るアルバムだと思う。ヴォコーダーで加工されたこしじまとしこのヴォーカル、力強いビートのクラブ・ミュージックが間髪入れずに飛び出し、自然と気分が高揚させられる、非常にアップテンポでドライブに向いている作品。

本作は、メディアや動画投稿サイトでよく素材となる#2「Starry Sky」や#4「Sugarless GiRL」の存在感が強い。特に#2はcapsuleの楽曲の中でも特に人気が高い。個人的には#3「REALiTy」#6「Catch my breath」の冷めた雰囲気がとても気に入っている。対して、貴重な歌ものである#10「Secret Paradise」もお気に入り。

Perfumeをきっかけにcupsuleに興味を持ち、結果的にクラブ・ミュージック自体にハマっている方が増えたと実感している今日この頃。決してマニアックなジャンルではないことを、中田ヤスタカが2つのプロジェクトを通じて知らしめたと言えよう。時系列的には本作以降にPerfumeが”ポリリズム”をヒットさせ一気に駆け上っていき、それに並行してcapsuleも注目されていく。ジャンルを超えて音楽活動をする彼の動向にこれからは目が離せない。
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olivia-lostlolli
1.Alone in Our Castle
2.Fake Flowers
3.Blind Unicorn
4.Devil’s in Me
5.Celestial Delinquent
6.Space Halo
7.Spiderspins(Lost Lolli Mix)
8.026unconscious333
9.Under Your Waves
10.Dreamcamp
11.Denial
12.Sea Me (English Version)
13.Into the Stars (Live Arrangement Version)

世界観の構築に比重が置かれた、ゴシックでスリリングな作品

女性シンガーOLIVIAによる2ndアルバム。アイドルユニットD&Dを経て、2000年にソロデビューを果たしたアーティスト。

1stアルバム「Synchronicity」では、今までのアイドルの経歴からはとても考えられない程のパンキッシュなサウンドを披露し度肝を抜いた。彼女が内に秘めていたロック志向を全面に出した作品と言ってもいいだろう。更に驚くべきはその歌唱力。透明感がありながら伸びが良く、時にシャウトするなど、近年の歌手の中でもトップクラスの歌声を持っている…と、個人的に思う。英詩が中心ということもあり、洋風な雰囲気も漂うアーティストである。

そんな彼女の2ndアルバムとなったのが本作「The Lost Lolli」。様々な曲調の楽曲が収録されているが、ジャケットからも伝わる通り、作品を通してゴシックな雰囲気が強調されている。キャッチーさは薄れたが、自らが追求する世界観を構築しようとしているのが伝わってくる。

スペーシーで荘厳な#1「Alone in Our Castle」や#6「Space Halo」、それに対してパンキッシュでスリリングな#2「Fake Flowers」や#7「Spiderspins」といった両極端な音楽性。その両極端な音楽を本作では見事に溶けこませ、世界観の一部としている。他にも地を這うような#5「Celestial Delinquent」、ラップがフィーチャーされた#8「026unconscious333」など様々な顔を見せてくれる楽曲から、とても意欲的な作品であることが伝わってくる。

窓口は狭くとも、一度入ってしまえば、とても広い世界観が待っている素晴らしいロックアルバム。そんな音楽を作り上げたOLIVIAのセンス、歌唱力にはもう脱帽である。これほどの作品を作ったというのに、大きく取り上げられないのが不思議でならない。

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wands-peace
1.FLOWER
2.Love&Hate
3.世界が終るまでは…
4.DON’T TRY SO HARD
5.Crazy Cat
6.SECRET NIGHT~It’s My Treat~
7.Foolish OK
8.PIECE OF MY SOUL
9.Jumpin’ Jack Boy(Album Version)
10.Million Miles Away

パブリックイメージを覆した彼らの最高傑作

90年代にヒット曲を数多く世に送り出して一世を風靡したことでも知られるロックバンド。本作は4作目となるオリジナルアルバムで、上杉昇、柴崎浩が在籍していた”二期”最後の作品。大ヒット曲「世界が終るまでは…」収録。

WANDSは、初期こそ大衆向けのポップスで人気を博していたが、中期も終わりに差し掛かったこの辺りで、音楽性に変化が表れる。一言で表現するならば、陰影の濃いハードロック。おそらく今までの彼らのイメージで聴くと、このダークな雰囲気に戸惑ってしまうかもしれない。しかし、今や本作こそがバンドの最高傑作との意見も根強く、WANDSの真の姿としても認知されている名作である。

今までのイメージを覆したこの作品は、大衆ロックを毛嫌いしていたロックファンにこそ好かれる作品だと思っている。持ち味である重量感のあるサウンド、更には上杉昇の色気のあるヴォーカルが、本作では特に映えており、非常にカッコ良い。

音楽性がガラッと変わったWANDSだが、統一感のある雰囲気と、それを形成する楽曲に穴がなく、非常に素晴らしい出来のアルバムといえる。#3「世界が終るまでは…」といった大ヒット曲もさることながら、突如路線を変えて本作のイメージを作り上げた#6「Secret Night」リリースの衝撃。ダークに疾走するこの曲は本作でもベストトラックに位置づけられるだろう。他にも、イントロから陰鬱全開の#1「FLOWER」、路地の街灯に照らされているかのように物哀しい#4「DON’T TRY SO HARD」、起伏の激しい展開に緊張感漂う#8「PIECE OF MY SOUL」と、粒ぞろいの楽曲が並ぶ。極めつけは壮大かつ感動的なラスト#10「Million Miles Away」。木村真也が唯一作曲したこの曲は、特に人気が高い。

今までの壮大なスケールによるポップスから、内省的なロックへ移行した音楽性。これは、メンバーの意向が大いに反映されたもので、彼らが本来やりたかった音楽だったようだ。しかし本作をキッカケに、制作サイドとの確執が一気に広がり、二期終焉の原因ともなってしまった。このことからも色んな意味で危うく、緊張感が漂う本作。個人的に本作は非常に長く愛聴しているが、そのような制作のエピソードも含めて好きなアルバムである。

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janne-dna
1.Deja-vu
2.Vanity
3.ファントム
4.EDEN ~君がいない~
5.child vision ~絵本の中の綺麗な魔女~
6.Stranger
7.桜
8.Lunatic Gate
9.Junky Walker
10.RED ZONE (Album Mix)
11.ring
12.Heaven’s Place

既に創りあげられていたJanne Da Arcの音楽

デビュー当時”ヴィジュアル系の最終兵器”なんて触れ込みがあったという彼ら。その触れ込みに違わぬ猛進ぶりで、あっという間にロックシーンを席巻し、圧倒的な人気を確立したのは御存知の通り。驚くべきは、そのハイクオリティな演奏、エロティックな世界観が、本作「D.N.A」の時点でほぼ完成されていたと言うことである。

Janne Da Arcは、メタルをベースにした、重たくてスピーディな演奏が印象的だが、とにかくキャッチーなメロディを作るセンスがずば抜けていて、一発でリスナーの心を鷲掴みにする。どれも非常に聴きやすいのである。yasuの作曲センスもあるだろうが、このバンドはkiyoのキーボードによる貢献が強いと思っている。特に後期のキャッチーさを意識した楽曲においては特に重要なポジションを担っている。

とはいえ、本作はメタルの力強さやと怪しげな世界観の構築に比重がかかっており、デビュー当時の尖った部分が出ている作品。特に冒頭の三曲は、ロックバンドとしての魅力を印象付ける、素晴らしい幕開けを作り上げている。#5「child vision~絵本の中の綺麗な魔女」は虐待されている赤子目線の歌詞が強烈で、本作においても特におどろおどろしい曲。#7「桜」は、常にJanne Da Arcの人気曲であり続けた名曲。そして、デビュー曲#10「RED ZONE」は、LUNA SEAのデビュー曲「BELIEVE」を彷彿とさせるインパクトの強さをもっている。

一方で、ラストの#12「Heaven’s Place」のバラードがまた感動的で、幸福感に包まれたこの雰囲気は、このアルバムでは浮いているほどである。

本作以降も安定して素晴らしい曲を作り続け、チャートに上位に食い込むほど大衆にも指示を得たJanne Da Arc。その礎は、本作で既に出来上がってしまったと言っても過言ではない。怪しさと激しさを伴いながらも、V系初期のきな臭さをあまり感じさせない、Janne Da Arcを初めて聴く方にもおすすめできる彼らの代表作である。

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nakatanimiki-cure
1.いばらの冠
2.天国より野蛮
3.砂の果実
4.水族館の夜
5.鳥籠の宇宙
6.Superstar
7.キノフロニカ
8.corpo e alma

ダークサイド全開、ミステリアスなイメージが引き立つ佳作

そもそも、ドラマを見て彼女について調べようとしなかったら、中谷美紀が歌手活動をしていた事実すら知らないままだったかもしれない。冷たいほどの美しさを持ち合わせながらも、陰影の濃さも感じさせる、とてもミステリアスで知的な印象が強い女優、中谷美紀。そのイメージは、歌手活動でも大いに発揮されている部分であったりもする。

特に本作「cure」は、上記の彼女のイメージを最大限に押し広げたようなアルバムである。透明感のある歌声から、彼女の美しさがこれでもかと表現されたPVの作りまで、ガラス細工のような繊細さが広がっている。

とは言えそれは、人気女優がリリースしたアルバムだというのに、明らかに大衆向きではなく、聴く人を選ぶ作品に仕上がっている。堕落していく女性を演じながらも、僅かな光を求めて力強く立ち上がろうとする。・・・退廃芸術とでも言えそうな美しさを放つこの作品は、非常に重苦しく、聴いている方が病んでしまいそうなほどの緊張感が張り詰めている。真っ黒なジャケットもそれを如実に表している。

特に衝撃だったのは#3「砂の果実」。この曲は坂本龍一の「The Other Side of Love」のカバー曲だが、歌詞が、”生まれてこなければ本当は良かったのに”など、ネガティブ全開。他にも#5「鳥籠の宇宙」においては不穏な空気が辺りを包み込み、暗闇で一点を見つめながら体育座りでぼんやりと歌っているさまをイメージさせる。一方で#4「水族館の夜」のような幸福感のあるポップな曲で、アルバムの重苦しさから開放される瞬間もある。にも関わらず、アルバムのイメージにうまく溶け込んでいるのがまた見事である。

ちなみに本作は2枚目のオリジナルアルバムで、坂本龍一がプロデュースを行っている。そして現時点での最終作3rd「私生活」までを手がけることになる。しかし、次作は坂本龍一の色が強くなってしまうため、彼女の佇まいや魅力を他のメディアで知った方には本作「cure」をぜひ聴いてもらいたい。彼女の佇まい、美しさ、魅力などがダイレクトに伝わるのはおそらくこの作品だと思う。

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bomi-many
1.BIG BANG!!
2.薄目のプリンセス
3.Rock’n Roll TAKADA-KUN
4.Mr.&Ms.Boring
5.麹町のスネーク
6.iYo-Yo
7.シャルロットの子守唄
8.パンゲロスの定理
9.泣きっ面リリー
10.PANIC☆アルバイター
11.キューティクル・ガール
12.エクレア

異世界と日常とのバランス感覚を持ったシンガー

2011年にデビューしたシンガーbomiによる1stフルアルバム。

本作収録の#6「iYo-Yo」が、様々なメディアでプッシュされたことで、彼女の存在を知った方も多いかもしれない。実際私もこの曲に惹かれ、本作に手を伸ばしたクチである。いい感じで力の抜けたヴォーカルとサビでの開放感が癖になるポップな曲である。

そのポップさが貫かれ、跳ねるようなリズムで軽快に進んでいくトラックを中心に構成されたのが本作。そしてエレクトロチックなサウンドや歌詞の言葉のチョイスにより、非常に可愛らしい世界観が作りだされている。もちろんその世界観はbomiの歌声あってこそで、脱力感のあるハイトーンの歌声は、はしゃぎ回っているかのようで、とても楽しそうだ。また、近年のポップスの空気感ともリンクするサウンドメイクも魅力的。

このように明るくて爽やかなアルバム、bomiは本作についてインタビューで「1cmPOP!」という言葉をキャッチフレーズにしていると語っていた。”1センチメートルだけ浮いている人の世界”とか”1センチメートルだけポップな音楽”という意味があるという。普通の人とは”ちょっとだけ”違う目線から作られたポップスは、異世界すぎず日常的すぎずの絶妙な間合いを持ちながら、今後も軽快に音楽シーンを駆け抜けてくれそうだ。
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lunasea-lunacy2
1.Be Awake
2.Sweetest Coma Again
3.gravity
4.KISS
5.4:00AM
6.VIRGIN MARY
7.white out
8.a Vision
9.FEEL
10.TONIGHT
11.Crazy About You

5人による化学反応が極まった、最終作にして最高傑作

「MOTHER」や「STYLE」も確かに素晴らしいアルバムではあるが、やはりどう考えても「LUNACY」こそが最高傑作に思えてならない。このアルバムは、日本のロックシーンに多大な功績を残したLUNA SEAが、終幕直前に残した最後の作品である。

LUNA SEAは、音楽性の全く異なるメンバーによる個性のぶつかり合いのような演奏や楽曲が特徴だが、本作はそれが一番良く現れているアルバムだと思う。陳腐な表現を使うならば、5人による化学反応が引き起こした最高傑作といえる。

思えば98年の活動再開後は、妖艶で繊細な楽曲よりも、肉体的な楽曲というか、男臭さが増した楽曲が印象に残っている。ゴジラに登場するビオランテに例えるなら、花獣から植獣に進化したような、美しさと力強さが組み合わさったサウンドと言ったところだろうか。活動再開後に出されたアルバム「SHINE」ではその魅力を出し切れていなかったのか、高い評価を得られず、メンバーもその出来に満足していなかったようだが、本作は違う。

個々の楽曲が非常に聴き応えがあるだけでなく、それぞれの楽曲を絶妙な場所に配置するバランスの良さ。特に序盤から中盤にかけ、徐々にLUNA SEAの深みにハマっていくような、宵に溶け込んでいくような流れが心地よい。#3「gravity」~#6「Virgin Mary」あたりの流れは特に美しくてディープな世界観が構築されていてたまらない。また、ダークでスピード感溢れる楽曲も個人的に大好きで、それらの曲が数多く収録されているのが、本作の特色でもある。#2「Sweetest Coma Again」や#8「a Vision」などはライブ感の強い楽曲で、初期の疾走感とはまた違うゴリゴリの骨太のサウンドで攻めた、特にお気に入りの二曲。

また、バンドの演奏技術が素人目で見ても、明らかに他の作品以上に際立っている。五人で力を合わせている感じが凄く伝わってくるし、紛れも無くLUNA SEAの音であるという演奏を個々のパートが担っている。中でもJのベースがここに来て異常なほどの存在感を放ちだしている。#2「Sweetest Coma Again」ではベースソロが配置されているし、他でもベースやドラムがメインで進んでいくパートが随所でみられたりと、リズム隊の存在感が際立ったアルバムとも言えるかもしれない。

バンドによる化学反応が極まり、力量がダイレクトに表現された、恐ろしいほどに優れた作品。好き嫌い抜きにしてでもロックファン全員に聴いてもらいたいほどの必聴盤だと、個人的に思う。

negoto-ex
1.サイダーの海
2.ループ
3.カロン
4.ビーサイド
5.メルシールー
6.ふわりのこと
7.七夕
8.week…end
9.季節
10.AO
11.揺れる
12.インストゥルメンタル

健やかでエネルギッシュな新世代ガールズロック

ミニアルバム「Hello!“Z”」を経て、満を持してリリースされた、ねごとのメジャー1stフルアルバム。ミニアルバムに収録されていた#2「ループ」、シングル#3「カロン」、#5「メルシールー」を収録。

閃光ライオットにて審査員特別賞を受賞したことでも話題になった、若干20歳のガールズバンド。若々しくスピード感溢れるエネルギッシュなガールズロックと言ってしまえばそれまでだが、それに加えてシュワっと弾ける炭酸のような心地よさが印象的だった。音に浸る心地よさを表現しているとでも言うべきその瑞々しいバンドサウンドは、若さゆえの未完成さを全く感じさせない。

幅広い音楽性を意識しながらもポップに消化するそれぞれの楽曲を聴く限りでは、既に自分たちの世界観を確立させているようである。もはやメジャーで数枚フルアルバムを出していてもおかしくないほどの安定感と完成度を誇っていて、正直ビックリした。爽やかで清らかな心地良いギターの音色、透き通る歌声ながらも声量のあるヴォーカル、骨太でテクニカルなドラムとベース。清涼感溢れるそれぞれのパートが重なり、”サイダーの海”という形容を使いたいほどの心地良いバンドサウンドが生み出されている。

それにしても、本作の序盤における名曲のオンパレードっぷりは素晴らしいとしか言いようがない。中でも#1「サイダーの海」は、彼女たちの瑞々しくもパワフルな魅力が凝縮されている。跳ねるようなキーボードの音色、サビのコーラスワーク、疾走感など、文句のつけようがない名曲。

聴く前は無意識の内にチャットモンチーと比較してしまい、実際そのようなサウンドを期待していたが、全く違っていたことにすぐ気づいた。癖もなく、パワフルでストレートなねごとのサウンドは、むしろチャットモンチーより好みなサウンドだった。潔いほどの疾走感で駆け抜け、その透明感でリスナーを別世界へ誘う、新世代ガールズロックバンドによる名盤の誕生。あとは彼女たちの今後の更なる飛躍を祈るばかり。

(さらに…)

amuro-181920
1.Body Feels EXIT
2.TRY ME~私を信じて~
3.Chase the Chance
4.太陽のSEASON
5.You’re my sunshine
6.How to be a Girl
7.SWEET 19 BLUES
8.Dreaming I was dreaming
9.Stop the music
10.a walk in the park
11.Don’t wanna cry
12.CAN YOU CELEBRATE?

時代を彩った、小室哲哉プロデュース時代のベストアルバム

安室奈美恵がデビュー時から産休に入るまでの12枚のシングルを網羅したベストアルバム。

小室哲哉プロデュースで、90年代にムーブメントを起こすほどの人気を誇った彼女。その当時を彩ったシングルがすべて収録されている。タイトルを見ただけで、すぐにその曲のサビが口ずさめる、印象に強くのこっている楽曲の数々。・・・改めて時代を動かしていた力強さが感じられる。

一曲ずつ聴いてみてわかったのだが、それぞれの曲の完成度の高さに驚かされた。こんなにいい曲だったっけ?と感じるほど、どの曲も思わずのめり込んでしまった。それぞれサビのインパクトは強いのは分かっていたが、そこ以外の部分の作り込みが素晴らしい。ここでこう来たか!という流れの連続は、聴き手を飽きさせない音のジェットコースターといったところか。これは小室哲哉の才能によるところなのだろう。現在のJ-POPシーンのヒット曲よりも、曲構成やサウンドが凝っているため、さすが時代を動かした人だなと感心してしまった。

一曲一曲書くときりがないので、個人的に好きな曲をピックアップしてみる。
まず「TRY ME~私を信じて~」。こちらは、with スーパーモンキーズ名義でリリースされた楽曲。おそらく最もシンプルな構成の楽曲だが、それゆえにムダがなく、ユーロビート調のサウンドが時代を感じさせる。次に「You’re my sunshine」。聴き返している中で最もイイ発見があった曲。前述の”こんないい曲だったっけ?”を一番実感した曲とも言える。まったりとした出だしから急に加速し始め、中盤のサビで爆発するような珍しい流れの曲で、最後の最後まで飽きさせない。

これは言うまでもないが、小室哲哉が生み出した巧みな楽曲を歌いこなしてきた安室奈美恵の実力も、当然認めざるをえない。ハリがあり気持よく伸びていく歌声は、ただただカッコ良く、聴いていてスカッとする。現在と比較すれば、やはり当時の歌声のパワフルさは全盛期のそれだろう。一方で「Dreaming I was dreaming」のような落ち着いた曲も、クールに歌いこなす。当時のカッコイイ女性像は、おそらく彼女を置いて他にいないだろう。それを小室哲哉はその魅力をうまく引き出し、素晴らしい化学反応を起こしたということなのだろう。

その化学反応で、90年代を彩った楽曲を網羅した本作。小室哲哉と安室奈美恵の全盛期を手っ取り早く聴くことが出来る、とても質の高いベストアルバムである。

sakamotomaaya-dive
1.I.D.
2.走る(Album Ver.)
3.Baby Face
4.月曜の朝
5.パイロット
6.Heavenly Blue
7.ピース
8.ユッカ
9.ねこといぬ
10.孤独
11.DIVE

多感な少女がみせる、大人びた表情

主役級のキャラクターを数多く演じる大物声優でありながら、歌手としての活動も積極的に行う彼女。そして本作は、二作目にあたるオリジナルアルバム。タイアップ曲が無いということからも、彼女の歌手活動の意欲が伝わってくる作品である。

近年は彼女に限らず声優が歌手活動をする姿が印象的だが、坂本真綾はその中でも、繊細で透明感のある歌声が特徴にあげられる、とても風通しのいいアーティストである。菅野よう子と組んで作り上げられてきた、澄み渡っていくような心地良い世界観は、彼女の声優活動を知らない方にこそ聴いてもらいたいと思う。

儚げでありながらも力強さを兼ね揃えた歌声。そこからは彼女が当時十代だったとは到底思えないほどの大人びた雰囲気を漂わせている。ただ、本作においては、精神的に背伸びしている多感な少女を連想させるモノとなっており、それがこのアルバムの魅力にもなっている。

穏やかに進行していく楽曲が多く、全体を通してじっくりと雰囲気を楽しむ作品となっている。それは、ジャケット写真とタイトル「DIVE」が表すように、水と戯れながら、次第に溶け込んでいくようなイメージを連想させる。

先行シングル「走る」は、青空の下を駆け抜けていく心地よさがたまらない名曲。他にも「Baby Face」でみせる無邪気な表情、青空を仰ぐような「パイロット」など、青春時代を切り取ったような爽やかな楽曲が並ぶ。その一方でダークサイドとも言える「月曜の朝」は、個人的に本作のベストトラック。低いトーンで淡々と進んでいき、緊張感や絶望感を漂わせる、本作ならではの楽曲ではないだろうか。

彼女のシンガーとしての表現力と世界観の型は、本作でほぼ出来上がったように思う。聴かせる、雰囲気を堪能するという意味では、以降の作品でも共通しているので、本作が気に入った方は、坂本真綾の作品を聴く土台はできたと言えよう。本作をきっかけに神秘的な彼女の歌声にハマってほしい。


direngrey-marrowofabone
1.CONCEIVED SORROW
2.LIE BURIED WITH A VENGEANCE
3.THE FATAL BELIEVER
4.AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS
5.GRIEF
6.凌辱の雨
7.DISABLED COMPLEXES
8.ROTTING ROOT
9.艶かしき安息、躊躇いに微笑み
10.THE PLEDGE
11.REPETITION OF HATRED
12.THE DEEPER VILENESS
13.CLEVER SLEAZOID

溢れだす溶岩

DIR EN GREYの6作目にあたるオリジナルアルバム。

前作「Withering to Death.」は、繊細なメロディと重層なバンドサウンドが織りなす作品となり、彼らの一つの完成形とも言える傑作であった。それを経て作られる本作は、果たしてどのような音楽性とメッセージが提示されるのか・・・。それは言うならば、黒に限りなく近い赤色がイメージされる作品で、まるで流れだした溶岩に覆われたようなオドロオドロしさを持っている。

ココに来てメタル色が一気に強まり、より重層で、より暴力的になったサウンド。全編通して地を這うような重さで地面を転げまわり、彼らが表現している「痛み」が直接的にぶつかってくる。ヴォーカルもいつも異常にキレており、ホイッスルボイスが所々で使われるようになった最初の作品でもある。このように、前作とは対照的にメロディを廃した曲が多いため、今まで以上に賛否を巻き起こすことになった作品である。

このような作品になった背景には、彼らが前作「Withering to Death.」リリース以降、本格的な世界進出を果たしたことが関係しているのだと思う。世界各国でもリリースされた前作を皮切りに、海外の大型ロックフェスの参加など、活動範囲、影響範囲が一気に広がったことが、本作に影響を与えていることは想像に難くない。

DIR EN GREY史上最凶の曲と言われる#4「Agitated Screams of Maggots」、より重たいサウンドアレンジが加えられた#13「Clever Sleazoid」#6「凌辱の雨」など、シングル群が既に重苦しいので、それらが気に入っている人には受け入れられる作品であると思う。瞬間的な破壊力が凄まじく、これに耐性のある人には好まれ、一気に引き込まれるアルバムだろう。しかし、前作や初期のメロディアスなサウンドが好きな方には、本作の暴れまわるサウンドには辟易してしまう可能性がある。ただ、冒頭の#1「Conceived Sorrow」や、後半の#9「艶かしき安息、躊躇いに微笑み」#10「THE PLEDGE」といった、彼らの和テイストを取り入れた”聴かせる楽曲”もあり、一つの音楽性に終始しない幅広い音楽性は相変わらずである

聴くタイミングや人を限定するアルバムになりはしたが、キレッキレのサウンドが個人的には癖になってしまい、一度ハマってしまったことで、むさぼるように聴きたくなる時がある。お気に入りは、ゆったりと進んでいく#8「Rotting Root」と、重いリフで突き進むドス黒さが癖になった#12「The Deeper Vileness」。この二曲は、シングル以外で本作を支える、重要な立ち位置にある曲だと思っている。

この作品に限らず本作以降にリリースされたアルバムは、いずれも窓口が狭くなっているが、一度入ってしまえばその世界にどっぷりとハマることになる。それはつまり、このバンドが他を寄せ付けない、自分たちの世界観を確立した証拠でもあると言える。そういう意味では、本作は彼らにとって大きな転機となったはずの作品で、彼らの歴史も「THE MARROW OF A BONE」以前・以降、という風に分けられるかも知れない。

さらに評価すべきは、世界規模のバンドになっても力を出し惜しみせず、常に全力で音楽と向き合う姿勢。彼らは常に、丸くなることなく「痛み」を表現するために試行錯誤を続け、そしてこれからも「痛み」を表現していくだろう。正直、彼ら以上に音楽に命をかけてるバンドが他にいるだろうか。DIR EN GREYの存在はもはや孤高という他ない。

moumoon-15doors
1.We Go(Intro)
2.15 Doors
3.One Step
4.Sunshine Girl
5.moonlight
6.Blue Rain
7.青い月とアンビバレンスな愛
8.ハレルヤ
9.YAY
10.EVERGREEN
11.Destiny
12.天国に一番遠い場所
13.On the right
14.HAPPY UNBIRTHDAY
15.Farewell(Outro)

眩しいポップセンスが光る

男女二人組ユニットmoumoonによる2ndアルバム。シングルは#4「Sunshine Girl」、#7「青い月とアンビバレンスな愛」など計6曲を収録。タイアップを持った曲も数多く、認知度を更に高めた作品といえる。

個人的にmoumoonは、近年のJ-POPの中でも飛び抜けてセンスがあるユニットではないかと思っている。それはYUKAの変化自在のヴォーカルと、キラキラした暖かみのある音楽センスによるためだと感じている。とくに本作はアルバムジャケットからも想像がつくように、とてもキラキラした音が散りばめられた作品になっている。リードシングル#4「Sunshine Girl」を筆頭に、それはもう、白いワンピースをきたYUKAが光りに包まれたように眩しくて、思わず目を細めてしまうほど。

そして、その楽曲のセンスと同じくらい、YUKAのヴォーカルは魅力があって好きだ。舌足らずな歌声で可愛らしく歌っていたかと思えば、#7「青い月とアンビバレンスな愛」では力強い歌声を披露していて、それはもう、クールさを感じてしまうほどで、その変わりように思わず唸ってしまった。随所に入り込む英語の歌詞の発音もカッコ良すぎてびっくり。この人は凄い。

おかげで、ただ可愛いらしい雰囲気を味わわせる作品に終わらず、上品で力強い部分も感じさせる、振り幅の広いアルバムになっている。トラックが進む毎に様々な音楽性が顔をのぞかせ、その変わりようが楽しい作品と言える。個人的に#3「One Step」でのつかみ所のないフワフワした雰囲気、アコースティックギターの音色が印象に残る感傷的な#6「Blue Rain」が特にお気に入り。

キラキラポップスを眩しく感じながらも、大人の雰囲気も醸し出している、とてもキュートでシックなアルバム。バンドの認知度は高いはずだが、もっともっと人気が出ても不思議ではないと常々思う。個人的にとても好きなユニットで、これからも音源を追いかけたいと思っている。

hyde-666
1.SWEET VANILLA
2.HELLO(Album Mix)
3.WORDS OF LOVE
4.HORIZON
5.PLAYER
6.MASQUERADE
7.MIDNIGHT CELEBRATION
8.SHINING OVER YOU
9.FRUITS OF CHAOS
10.HIDEAWAY

闇夜を駆けまわる、”動”を意識したソロアルバム

2001年にL’Arc~en~Cielは、メンバーがソロ活動を活発化させたことで結果的に活動休止状態に入り、HYDEも同年にはソロ1stアルバムである「ROENTGEN」を発表。2003年の夏になるとメンバーは再び集結し、活動を再開させていくのだが、その前後にソロ二枚目となる本作「666」をリリース。パンキッシュで攻撃的で、明らかな”動”を意識させる本作は、”静”をイメージさせる前作とともに、ソロ時代を象徴する、HYDEの趣向全開の名作である。

“静”をコンセプトにした「ROENTGEN」とは真逆の音楽性を披露しているが、そこまで驚くことはなかった。むしろ、”やっときたか”という思いが強かったかもしれない。そもそもHYDEの世界観は、音を変えてもHYDEのものだとすぐにわかる、というのもある。

因みに本作の制作当初は、前作と同じコンセプトをイメージしていたそうである。そこから本作に行き着いたということで、この自由な構想、音楽性や世界観を披露できるのはソロの特権なんだなと感じた。ただHYDEに関しては、多様な音楽性を披露しているラルクの存在があるからこそ、自身の趣向をより自由な発想で深めることが出来るのだと思う。

満月のもと、闇夜を飛び回るコウモリのような妖しさを内包している本作は、重層な演奏を惜しみなく披露し、音の力強さとメロディーの流麗さが素晴らしいハーモニーとなり、HYDEのイメージを創りあげる。特に中盤の#4「player」~#6「Midnight Celebration」辺りはそれが顕著で、特にお気に入りの曲群である。サウンドの影響か、HYDEがしゃがれたシャウトを披露しており、攻撃的なサウンドに迫力を加えている。

ポップな曲は皆無で、大衆受けはしないかもしれないが、自身をさらけ出すとも言えるソロ活動で生み出された作品は、後のラルク再始動で新たな力を与えたはずだ。

kurakimai-deliciousway
1.Delicious Way
2.Love, Day After Tomorrow
3.Secret of my heart
4.Stepping ∞ Out
5.Baby Tonight ~You & Me~
6.Can’t get enough ~gimme your love~
7.NEVER GONNA GIVE YOU UP
8.Stay by my side
9.Everything’s All Right
10.happy days
11.君との時間

多数のヒット曲で時代を彩った女性シンガー

倉木麻衣の1stアルバム。デビューシングル#2「Love,Day After Tomorrow」を始め、アニメ主題歌となった#3「Secret of my heart」など、彼女の代表曲が数多く収録されたデビュー作。デビューシングルからたちまち注目を集め、その後も出すシングルがいずれもスマッシュヒットしていく中、満を持してリリースされた本作。この作品が、約350万枚という売り上げを記録したという事実を知れば、彼女が登場したことによるシーンへの衝撃がお分かりいただけるだろう。ただ、その衝撃的な登場に反し、メディアにあまり露出しない佇まいや、慎ましい歌い方などから、とてもミステリアスな雰囲気をまとっているアーティストでもある。

そのシングルの圧倒的な存在感が本作の魅力かもしれないが、本作を聴いているうちに、それら名曲を支える他の楽曲が印象に残っていくはず。突然前半の熱量が抑えられた#4~#6辺りは穏やかで心地良く、そのクールダウンっぷりからはカッコ良さすら覚えるかもしれない。ちなみに本作で個人的に好きな部分が#6「Can’t Get Enough」~#7「Never Gonna Give You Up」の流れで、倉木麻衣の魅力が最も現れている部分だと思っている。淡々と言葉を紡ぐていく、その冷めた歌い方が非常にカッコ良く、癖になる二曲である。

彼女は、そのクリアで優しい歌唱法と、感情の変化をあまり感じさせない歌声で、その神秘的な雰囲気をより強くしている。彼女の魅力は、一人で成り立つような張り上げる歌声ではなく、バックの音に溶けこみながら、お互いのサウンドを支えあうクリアな歌声なのである。楽曲の雰囲気を解釈し、繊細な絡みを魅せていく彼女の歌声は非常に心地良い。後にコンスタントに良作をリリースしていく彼女だが、最初に聴いていただきたいのは本作だ。

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