Matryoshka-Zatracenie
1.Sink into the Sin
2.Slowsnow
3.Evening Gleam Between Clouds
4.Viridian
5.My Funeral Rehearsal
6.Tyrant’s Miniature Garden
7.Anesthetic
8.Ezekiel
9.Beyond
10.February Lifesaver

冷気を感じさせる国内産エレクトロニカ

身体の芯から凍える真冬の季節、夜にひっそりと聴きたくなるのは本作のようなアルバム。震えるような小刻みなノイズ、静謐なエレクトロサウンド、そしてオーケストラを融合させ、非常に繊細な音を奏でるのが特徴的なエレクトロユニットである。

Matryoshkaは男女二人組で活動しているユニットで、本作は2007年のデビュー作にあたる。繊細なタッチで描かれた音色に、吐息のような女性のウィスパーボイスが重なり、非常に幻想的で壮大な世界観が構築されている。また、ダークな側面も強く持ち合わせているため、ネガティブな心情にそっと寄り添うかのような、もの悲しい雰囲気がとても印象的である。中でも#8「Ezekiel」で繰り広げられている妖しさは絶品である。

季節で言うと完全に”冬”の作品で、#2「Slowsnow」や#4「Viridian」あたりは白い吐息が漏れそうだ。またこのバンドは、ピアノやバイオリンなどのオーケストラがとてもいい味を出していて、曲の後半に非常にダイナミックな仕上がりとなっているのも印象的。なかでも#10「February Lifesaver」はそれが顕著に現れた名曲で、素晴らしいラストとなっている。

繰り出されるサウンドが異国の幻想的な景色を連想させるので、海外のアーティストかと思っていたが、日本人ユニットだということに驚いた。多くの方が感じているように、Sigur Rosやmumといった、アイスランド出身バンドが作り出す冷気を感じさせる、国内では貴重なアーティストだと思う。

spitz-hatimitsu
1.ハチミツ
2.涙がキラリ☆
3.歩き出せ、クローバー
4.ルナルナ
5.愛のことば
6.トンガリ’95
7.あじさい通り
8.ロビンソン
9.Y
10.グラスホッパー
11.君と暮らせたら

時代に左右されないバンドの出世作

数年時、とあるお店のUSENで流れてきた#8「ロビンソン」のイントロに聴き惚れたことがきっかけで、スピッツをじっくり聴きたくなり、真っ先に手に取ったのがこの作品だった。スピッツは、ふとした時に流れてきたりすると、思い出補正もかかり、時間を忘れて聴きたくなる。でも、だからといって時代の産物の音楽では決して無くて、それは今の中高生にも人気があるということからも証明されている。

特に本作は、大ヒットシングル#8「ロビンソン」を始め、#2「涙がキラリ☆」が収録された作品で、俗的に言うとスピッツの出世作となったアルバムである。心地よいアルペジオギターの音色をバックに、風通しの良いポップな楽曲が目白押しで、大ヒットに違わない内容の代表作。その心地よさと爽やかさから、春から夏に移り変わる時期の爽やかさが感じられる。

特に#4「ルナルナ」、#6「トンガリ’95」、#10「グラスホッパー」は、春~夏の浮足立った気持ちを体現したような軽快なポップソングで、本作ならではの楽曲。#4「ルナルナ」はとても可愛らしく、他2曲はギターロックバンドとしての側面を見せる。

個人的に好きな曲は、#3「歩き出せ、クローバー」、#9「Y」と#11「君と暮らせたら」。#9「Y」は、ギターのアルペジオが際立った神秘的な楽曲で、本作で唯一闇を感じさせる。#11「君と暮らせたら」は、タラレバの歌詞を爽やかに歌う様が切ない曲だが、サビの心地よさに何度も聴き入ってしまう。

スピッツはとても謙虚なイメージがある。…というより主張が激しくない。草野さんのヴォーカルは押し付けがましくなく、とても気持ちよく聴くことできる。また、繊細なメロディで作られる優しい雰囲気は、まるで我々に聴いてもらえるのを待っているかのようである。大きなアピールをせず、ただひたすら「いい曲」を作り続けている彼らこそ、日本が誇るべきアーティストではないだろうか。これからもその印象を保ったまま「いい曲」を提供して頂けたらと思う。

straightener-dear
1.The Novemberist
2.Melodic Storm(DEAR EDIT)
3.Blue Sinks in Green
4.Dead Head Beat
5.Sad Code
6.The Remains(DEAD EDIT)
7.The Nowarist
8.Tornado Surfer
9.Discography
10.Farewell Dear Deadman

荒々しくて、美しい

個人的にストレイテナーは大好きなバンドの一つで、2005年に『TITLE』を聴いて以来、リリースされる作品をチェックしてきた。個々のメンバーの繰り出すサウンドが非常にパワフルで、お互いの力強さをぶつけ合わせるような演奏がとても魅力的なバンドである。結成当初はホリエアツシ(Vo/G)とナカヤマシンペイ(Drums)の二人組だったが、2004年に日向秀和(Bass)が加入し、2008年に大山純(Guitar)が加入。それにより音の厚みが格段に増しており、初期の作品と比べると一目瞭然である。

本作は『TITLE』に引き続き、3人編成による作品。日向秀和が加わったことで一気に音の厚みが強くなり、現在に繋がる極太サウンドの核が出来上がった。『TITLE』は、日向を加えた事による轟音サウンドを惜しげもなく詰め込んだ作品となり、音の粗さも魅力に変えた名作だった。

それを踏まえて次作『Dear Deadman』を聴くと、轟音の威力はそのままに、音質がとてもクリアになっており、とても聴きやすいという印象だった。また、前作にもあったアルペジオの音色を駆使した曲も洗練されている。全体的に整ったサウンドメイクがされ、インディっぽさがなくなり、上品さが生まれた作品。多くのファンは、この作品を聴いたことにより、いよいよ彼らが大きなステージに登ってくることを感じただろう。

音のバラエティに富んだことで個々の曲の個性が強く出ている。#1「The Novemberist」は、繊細なアルペジオで始まり、轟音で大サビに入る王道の展開。ただ、これは彼らの持ち味なので、名刺代わりに1曲めから聴かせるのに優れていると思う。そこからシングルカット曲#2「Melodic Storm」で一気に引き込み、#3「Blue Sinks in Green」~#4「Dead Head Beat」で彼らのぶつかり合うようなサウンドが駆け抜ける…といった展開。ギターのカッティングとシンセ音が印象的な#9「Discography」もカッコイイし、ミドルバラード#10「Farewell Dear Deadman」は後半の女性コーラスが感動的(一瞬なのに)、というか使い方が上手い。

音の爆発力も去ることながら、それだけにとどまらずメロディを強調した物語性の強い楽曲を作るので、彼らの曲やサウンドはとても印象に残る。荒々しくて、美しい。対極の部分を見事に共存させつつ、作品を発表するごとに大きく進化していく素晴らしいバンドである。

kuroyume-kurotokage
1.ZERO
2.ROCK’N’ROLL GOD STAIR
3.I HATE YOUR POPSTAR LIFE(Album ver.)
4.CLARITY
5.A LULL IN THE RAIN
6.FREE LOVE,FREE SEX,FREE SPEECH
7.MAD FLAVOR
8.ゲルニカ(Album ver.)
9.SOLITUDE
10.BLACK HOLIDAY
11.CALLING(Album ver.)
12.黒と影
13.KINGDOM(Album ver.)
14.LEAP(BONUS TRACK)

再結成後も変わらぬサウンド

本作は2014年にリリースされた、再結成してから二作目に当たる作品。再結成直後の作品は未聴だが、リードシングル#3「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」のカッコよさに惹かれたのと、清春出演のとあるネット番組を観たのをきっかけに、本作を聴きたくなった。

ギターを食ったような人時のベース、シャウトとビブラートを取り入れた清春のヴォーカル、そして刺々しさを失わないダークで重たいサウンドは健在で、全盛期からの衰えを殆ど感じさせないところがまず衝撃的。迫力で言えば、むしろ本作のほうが有るのかもしれない。またジャケットやタイトル、シングルから、どこかミステリアスな雰囲気を想像していたが、全体的に小難しい楽曲は無く、力強いバンドサウンドでガンガン突き進む。最初のインパクトも抜群で、聴きやすい楽曲が多いのも特徴的だった。

個人的に最も愛聴しているのは、PVのカッコよさに惚れた#3「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」。棘のある歌詞と、シャウトが印象的なヴォーカル、スピード感のあるハードロックサウンドがとても痛快。以前の黒夢を彷彿とさせる楽曲で、変わらない魅力をぶちまけてくれている。他にもホラー映画の主題歌になった#8「ゲルニカ」や、ゆったりとしたテンポで力強く進む名曲#13「KINGDAM」などが本作のハイライトとなっている。

彼らの評価の常として、”黒夢らしい”とか”SADSっぽい”、”ソロに近い”といった、”どの活動の音楽性に近いか”という話題がされる。しかし清春としては、違いを意識してバンドを組んだりソロを展開しているわけではないようで、その時にやりたい音楽をやっているに過ぎないらしい。

そういう気まぐれ(?)で自由奔放な活動が、激しく変わる音楽性やバンド活動遍歴などにも表れている。ファンとしては不安定な活動遍歴にハラハラしてしまうが、元々コンスタントに作品を作ってライブをするような、型にはまった活動はできない質なのだろうし、それが黒夢らしいとも言える。

ところでここ数年、90年代に全盛期を迎えて活動休止(解散)をしたバンドの再結成が目覚ましい。再結成したバンドの活動を拝見すると、メンバー内の不和や全盛期の疲れから解き放たれ、とても活き活きしているように感じられる。中でもLUNA SEAやThe Yellow Monkeyはそれが顕著で、黒夢も例外ではない…はず。

再結成を果たし、二枚の作品をリリースした現在は安定した活動を予期させるが、今後どのように活動を継続していくかは大きな関心事である。

mr.children-discovery
1.DISCOVERY
2.光の射す方へ
3.Prism
4.アンダーシャツ
5.ニシエヒガシエ
6.Simple
7.I’ll be
8.#2601
9.ラララ
10.終わりなき旅
11.Image

影の強いミスチル

全盛期から少しずれているけど、個人的にこの辺りがミスチルとの本格的な出会いだった。同時にこの頃の方が、陰が強くて好きだったりする。大ヒット曲を立て続けにリリースしてきた後なので、”落ち着いた”と言ったら月並みな表現になってしまうけれど、世間的からすれば本作の認識はそんな感じだろう。

もう、本作を表現するものはモノクロのジャケットと#1「DISCOVERY」で十分かもしれない。今までの”壮大なスケールのバラード”や”底抜けにキャッチーな曲”というのはほとんどなく、本作は地味で薄暗い印象がつきまとう。日常生活の中で感じる憂鬱感、不満感。それを爆発させるでもなく、ブルーな気持ちを淡々と曲に反映させた、といった印象の作品である。

#2「光の射す方へ」は先行シングル曲だが、#1「DISCOVERY」の雰囲気を引きずったような虚無感があり、本作で特に存在感を放っている。シングルカットされた曲といえば#7「I’ll Be」、ヒット曲#10「終わりなき旅」などがあるが、曲調は違えどこちらも色のついていない写真を眺めているようなモノクロ感を感じさせる。#6「I’ll Be」は9分に及ぶ曲だが、暗闇の中で一筋の光を探すような、希望に満ちた心地よい楽曲である。

一方でロックバンドとしての荒々しい一面を垣間見れるのも特徴である。ヒット曲#5「ニシエヒガシエ」や#8「#2601」はギターのリフが特徴的で、彼らのギターロックを堪能でき、とてもかっこ良い。

全体的に怠惰な雰囲気を感じさせる、ミスチルの作品の中では異質な部類に入る作品。世間に媚びずに音を鳴らしている感じがとても痛快。キャッチー過ぎない分、雰囲気を味わうように聴くのがコツで、結果的に長い期間ゆったりと楽しめる作品であるように思う。個人的に本作は、ボーッとしたい時や、西日が差し込む時間帯にさり気なく流すのが好き。

ymo-technodelic
1.Pure Jam
2.Neue Tanz
3.Stairs
4.Seoul Music
5.Light in Darkness
6.Taiso
7.Gradated Grey
8.Key
9.Prologue
10.Epilogue

時代を選ばない、普遍的な名作

テクノ創世記にシンセサイザーという武器を手にした三人は、その新しい”サウンド”でどんなことができるのか、どこまで表現できるのか、という考えに取り憑かれていたと言ってもいい。もっと言えば、そういう思いついた表現や考えをひたすら試すためにYMOというユニットを活用していたのではないか。

世間の大きな反響が逆に足枷になったり、メンバー内で不和が溜まったりして、”解散したかったけどさせてもらえなかった”などとぼやいていたそうだが、そんな心境の中でも作品を完璧に作り上げる辺り、彼らは凄いなあと思う。また、個々の作品を聴き比べてみると、それぞれにテーマがあり、非常に考えられて作られており、突発的な発想や感情的な表現とは対局に位置しているのが分かる。

3rd『BGM』発表後、彼らが次なる境地として試みたのは、生楽器との融合。聴くものを芯から刺激するような、肉体的で力強いサウンドは、時代を感じさせない普遍性に満ちている。今聴いても全然古臭さを感じさせない。『Technodelic』は前作に引き続き、実験的といえる作品だが、一つ一つの音にハマっていくと、ズルズルと本作の魅力に取り憑かれていく。

“ベーシストとしてのアイデンティティを失っていた”細野氏が、久々に四弦ベースを手にしたり、全生の演奏の曲があったりと、新鮮さを感じさせる曲が多い。特にメンバーの演奏力の高さがそれを後押しし、より高水準の作品に仕上がっている。個人的に本作は、刺激的なベース音がたまらない。特に#4「Seoul Music」~#6「Taiso」辺りは、どう考えても聴きどころは細野氏のベースだと思う。他にもフワフワとしたシンセでクールダウンさせる#7「Gradated Grey」、#10「Epilogue」では、音の組み込み方が、現代に通ずる部分があり、こちらも今聴いても新鮮。

YMOがリリースした作品では異質で、とっつきにくい部分があるが、時代を先取りしたようなサウンドからは、彼らの実験の成果がありありと感じられる。2nd『Solid State Survivor』や5th『浮気なぼくら』のような歌謡テクノだけを聴いた方にも、ぜひ挑戦してもらいたい作品である。ちなみに、個人的には本作がYMOで最も魅力的な一枚である。

reiharakami-lust
1.Long Time
2.Joy
3.Lust
4.Grief & Loss
5.Owari No Kisetsu
6.Come Here Go There
7.After Joy
8.Last Night
9.Approach
10.First Period

風景と情感のエレクトロニカ

エレクトロニカの中でも、とりわけ情緒のある風景を想起させてくれるのがRei Harakamiの音楽。彼が創りだす、水の中にいるような、はたまた夕焼け時の街並みに溶けていくような柔らかい音像が大好きだ。またこの音色は、我々の日常にスゥーッと入り込み、情感にも訴えてくる。落ち込んだ時や、一人でボーっとしたい時などに、夜更け時にじっくりと聴くと、とてつもない心地よさを味わうことが出来る。

前作『Red Curb』にて注目が集まった彼が、次に放ったのが本作『Lust』。おそらくRei Harakamiの作品の中で最も支持されている作品。個人的には#6「Come Here Go There」を聴いて本作の虜になり、本作は未だに色んなシーンで聴いている。電車の車窓を眺めながらBGMとして聴いたり、気が滅入ることがあった時などの心の処方箋としてなど。

それにしてもこの力の抜けたフワフワとしたサウンドは、ありそうでなかった。おそらくこのセンスは日本人独自のものなのだと思う。海外の仰々しくキラキラした異世界感の強い作品に対し、Rei Harakamiは、日常生活に溶け込むような音を鳴らしている。

個々の曲については、派手さはないため、ボーっとしながら聴くのが良い。特に#2「Joy」#4「Grief & Loss」は同じフレーズを繰り返すが、それが心地よい。#5「Owari no Kisetsu」は本人が歌っているが、その淡々とした歌い口がまた良い。別格の美しさを放つ#6「Come Here Go There」以降の楽曲は、段々と灯が消え、夜の闇に溶けていくような雰囲気が漂いだす。このようにアルバムの前後で、雰囲気が変わってくるのも印象的だ。

2007年には「天然コケッコー」の音楽を担当しサントラも発表。他にも他アーティストとのコラボなどで活躍の幅を広げていたが、2011年に急逝。国内では数少ないエレクトロニカ・アンビエント系の名アーティストだっただけに、とても残念。

KawamuraRyuichi-love
1.I love you(Album mix)
2.好き
3.涙色
4.Birthday
5.Love song
6.BEAT
7.蝶々
8.Love
9.Evolution
10.小さな星
11.Glass(Album mix)
12.でも淋しい夜は…(Live)
13.SE,TSU,NA,(Another mix)
14.Love is…(Album mix)
15.Christmas
16.Hope

名曲の宝庫

個人的にこのアルバムは、J-POP関連の作品では五本の指に入るほどのお気に入りである。音楽にハマり始めた学生時代に聴いたのも大きいが、やはりどの曲も単純に良い曲ばかりでとても気持ちいい。個人的に河村隆一の歌声というのは、ポップスで本来の魅力が発揮されるように思う。当然LUNA SEA時の棘のある歌いまわしも好きだけど、本作の優れた楽曲を聴いていると、どうしてもそう感じずにはいられない。

97年にLUNA SEAの活動が一旦休止し、個々がソロ活動をする中、最も大衆に支持されたのは言うまでもなく河村隆一のソロ活動だった。ソロシンガー河村隆一の、ナルシスティックなラブソングが詰め込まれた作品となり、お茶の間にその名を知らしめた。シングル#6「BEAT」や、#11「Grass」などのシングルを筆頭に名曲のオンパレードである本作は、270万枚の大ヒットとなり、これは男性ソロシンガーのリリースした作品では歴代一位の売上記録である。

軽快で風通しの良いポップス集で、ラブソング以外にも、季節感の強いものや社会の憂いを歌ったものまで様々な楽曲が存在する。中でも、冒頭の波のせせらぎからアコースティックギターへと遷移する#1「I Love You」は特にお気に入り。様々な情景が浮かび上がらせる、壮大かつ素晴らしい楽曲である。もう一つ爽やかで好きなのが#6「BEAT」で、こちらはどの楽曲よりも聴きやすく、幸福感に包まれた名曲。

さわやかな楽曲が多い一方で、ダークな雰囲気をまとっている曲も印象的。中でも#9「Evolution」は、社会ヘ向けてのメッセージを含んだ憂いの強い楽曲だが、アルバムの中でとても良いアクセントになっていると思う。大ヒット曲#11「Grass」での河村隆一のハイトーンのサビは、非常にインパクトがあり、ソロの楽曲の中では今もなお印象的な一曲である。

などなど個々の楽曲を上げていくとキリがないが、ソロ活動を通じてヴォーカリストとしての実力を存分に知らしめた名作である。再始動後や終幕後もコンスタントに作品をリリースしており、ソロのファンはとても多いように思う。ヴィジュアル系バンドのフロントマンのRYUICHIと、コンサートホールで正装で歌っている河村隆一。ファンは違えど、どちらも彼らしさが発揮されていてとても魅力的だ。個人的にはバンドとソロを非常に上手く使い分けているという印象で、どちらの彼の活動も応援していきたい。どちらにせよ、彼の歌声は大好きなので、一回はライブなりコンサートなりでじっくり聴いてみたいものである。

ymo-sss
1.Technopolis
2.Absolute Ego Dance
3.Rydeen
4.Castalia
5.Behind The Mask
6.Day Tripper
7.Insomnia
8.Solid State Survivor

全ては計算?

中期の実験的な作品も素晴らしいけど、世間一般のYMOのイメージはやっぱりコレ!#1「Technopolis」、#3「Rydeen」が収録された、言わずと知れた大ヒットアルバム。日本にテクノポップブームを巻き起こすだけでなく、YMO自体が社会現象となり、彼らの命運を良くも悪くも大きく変えた、いわば全てのきっかけを作った作品である。

恐らくコンピューターミュージックを歌謡音楽に昇華した金字塔的作品である。YMOがKraftwerkから強い影響を受けたことは言うまでもないが、あちらがともすれば革新的で終わってしまうところを、YMOはコンピューターミュージックを世間一般にまで浸透させ、さらにはその可能性を大きく押し広げた。その功績は非常に大きい。

個人的に、当時の活き活きしたとした収録風景が印象的で、シンセやコンピューターという新たな”武器”を手にしたことで、音楽に新たな可能性や未来が広がったことにワクワクしている様がとても良く伝わってきた。今までは”感覚”で行なっていた音楽について、リズムや音を数値に置き換え、新たに音楽の方程式を作り出していくという作業は圧巻である。

例えば、沖縄音楽を意識して作られたという#2「Absolute Ego Dance」も、そんな計算や方程式が織り込まれてあの雰囲気が作り出されているのである。聞けば聞くほど、知れば知るほど凄いグループだったのだと唸ってしまう。ヒット曲のポップさとは裏腹に、RPGの音楽のような#4『Castalia』は、もはや時代の先を言っていたような楽曲である。

全体的に時代を感じさせるサウンドではあるが、いつの時代も”近未来”と言うワードをサウンドに置き換えるとこんな音で表せるのではないだろうか。今聴くと逆に新鮮である。ちなみにメンバーは、このアルバムが売れるとは思っていなかったらしく、あまりの反響の大きさに驚いたそうだ。しかし、当時を知らない私が今聴いても素晴らしいと感じた作品だし、一過性の狂騒で忘れ去られてしまう作品とも到底思わない。そこにはやはり、彼らが計算で創りあげたサウンドと、音楽の新たな歴史を拓こうとした熱意が込められており、それが組み合わさったからこそ多くのYMOチルドレンを生み、現在まで語り継がれているのだと思う。

さらなる実験性や完成度は中期の作品に譲るとして、とりあえずYMOを知りたい人、当時の雰囲気を味わいたい人(?)はぜひ聴いてもらいたい。

ymo-bgm
1.Ballet
2.Music Plans
3.Rap Phenomena
4.Happy End
5.1000 Knives
6.Cue
7.U.T
8.Camouflage
9.Mass
10.Loom

証明させた音楽性の高さ

今でこそ次作の『Technodelic』と並び、傑作の一つに位置づけられている本作。しかしリリース当時は、大衆性から逸脱した音楽性により、酷評が圧倒的に多かった。”自分たちの音楽性を追求し続けた”…などと、彼らの心境を勝手に解釈するのは簡単だが、おそらく彼らはとてつもない天邪鬼だったのだと思う。リスナーが期待した方向には絶対に向かわない高飛車な姿勢が、顕著に現れた作品だと言える。

1979年に『Solid State Survivor』が大ヒットを記録し、その後の『Public Pressure』などのリリースを経て、YMOは一気に日本国内を席巻。その矢先にリリースされたのが本作だった。”教授と細野氏との仲がギスギスしていたから”とか、”にわかファンをふるい落とすためだった”とか、本作を物語るエピソードは様々だが、実際異常な人気ぶりに最も当惑していたのはメンバー自身で、同時にそんな状況に嫌気が差していたそうだ。売上こそ減少したが、現在では彼らの音楽性の高さを証明する作品ともなっている。

各楽曲に関しては、口ずさめるような楽曲はなく、その不穏な旋律や実験的なサウンドに対し、じっくりと耳を傾けて楽しみたい。#1「Ballet」でいきなりぼんやりとした陰鬱な音色が耳を突き、今までとは違う音楽をたちまちのうちに感じさせる。その後も、投げやりなヴォーコーダの声と耳を劈くサウンドが印象的な#2「Music Plans」、不穏な空気感が辺りを包み込む#4「Happy End」へと続いていく。

機材と無表情で睨み合う彼らの姿を想像すると、クールな表情を捉えた、いかにもYMOらしいサウンドだとも感じる。中でも、強烈なドラミングと中盤のメンバーによる掛け合いが印象的な#7「U.T」は特にかっこよく、個人的にも大好きな曲である。そして最後の#10「Loom」では、眠りに誘う優しい音色を披露し、もはやアンビエントまで及んでいる。

本作『BGM』と、それを更に突き詰めた『Technodelic』は、一般的なYMOのイメージとはかけ離れているが、メンバーはこの二作を特に気に入っているようである。実験的かつクオリティの高さが意識された二作は、YMOの本質に迫ったものであることは間違いない。また、職人集団であったにもかかわらず、茶目っ気たっぷりな彼らの佇まいも面白く、それが音楽性を変えても憎めない所以である。現在もなお多くリスナーに愛され、後世のミュージシャンに影響を与え続けている天才的なグループである。

(さらに…)

bz_survive
1.Deep Kiss
2.スイマーよ!!
3.Survive
4.Liar!Liar!
5.ハピネス
6.FIREBALL
7.Do Me
8.泣いて泣いて泣き止んだら
9.CAT
10.だったらあげちゃえよ
11.Shower
12:Calling

B’zの新しい色が提示された作品

個人的な話になるが、B’zは学生時代に呆れるほど聴いていた。アルバムも殆ど持っていたと思う。そんなこともあり、今になって彼らの過去作を聴くということは、学生時代に帰ることとほぼ同義となっている。特に本作『SURVIVE』はよく聴いていたので、今聴くと懐かしくてたまらなくなる。

特に好きな曲は#11「Shower」で、”海沿いの球場見下ろせば”で始まる歌詞と、それに連動したような優しい音色が、狂おしいほど青春時代を感じさせる。以前なら、#4「Liar!Liar!」、#6「Fireball」といったハードロック調のシングル曲を好んでいたが(もちろん今でも大好きだが)、時が経ったことで心に響きやすい曲も代わったようだ。

さて、客観的に本作を評価すると、ハードロック調の力強い楽曲がシングルとして発表されたことから、彼らが次のステップへ向かおうとしていることが感じ取れる作品だと思う。大ヒットした前作『LOOSE』辺りまでは、ブラスサウンドやブルースやガレージの雰囲気が強かったが、本作からはバンドサウンドにエッジが効き、ポップスよりもロックに比重が傾いたような気がする。#1「DEEP KISS」のハードなサウンド、誰も真似できないようなハイトーンで歌うヴォーカルを聴けばそれを何となく感じることが出来ると思う。前述の#4や#6のシングル曲は言うまでもない。

ハードなサウンドが際立つ作品なのでどうしても最初はそのインパクトに引きづられるが、全体を通してバランスが取れた楽曲構成になっていて、とてもメリハリのついた作品だと言えるだろう。前作までの渋さを持った#3「Survive」#8「泣いて泣いて泣き止んだら」。キラキラしたバラード#5「ハピネス」#11「Shower」。ポップな「だったらあげちゃえよ」。最後にはそのすべてを詰め込んだような大ヒット曲「Calling」が待ち構えるという布陣である。何度も本作を味わっていると、バラードなどのそれぞれの楽曲の存在感の強さに気づき、ハードなアルバムという印象は薄くなっていくと思われる。#5「ハピネス」は幸福感で涙が出てきそうで、この曲も好きだなぁ。

B’zが凄いのは、2016年の現在も尚、衰えることなく作品をリリースし続け、ライブもこなしていること。学生時代の当時とは違い、様々な音楽を聞くようになり、彼らの作品を毎回チェックすることはなくなってしまったが、ニュースはいつも目にしていたのでその度に驚かされている。ああ、昔はファンクラブ入ってたなぁ…。今回を機に彼らの”追っかけ”を再開しようかな。

direngrey-vulger2
1.audience KILLER LOOP
2.THE IIID EMPIRE
3.INCREASE BLUE
4.蝕紅
5.砂上の唄
6.RED…[em]
7.明日無き幸福、呼笑亡き明日
8.MARMALADE CHAINSAW
9.かすみ
10.R TO THE CORE
11.DRAIN AWAY
12.NEW AGE CULTURE[
13.OBSCURE
14.CHILD PREY
15.AMBER

地を這う和風ニューメタル

2015年現在に至るまで、様々な”痛み”を生々しく、時にはグロテスクに表現してきた異色のロックバンド。ライブでは身体を傷めつけることも厭わない、もはや見ているこっちが顔を引きつらせてしまうほどのパフォーマンスを見せる。

そんな独特な表現力が魅力の彼らだが、新作がリリースされるたびに注目されるのは、その音楽性の行方。作品がリリースするごとに表現方法が変わるためである。そのため個々の作品に優劣は無いが、『Vulgar』は特に評価が高い作品ではないかと思う。

前作『鬼葬』辺りから、いよいよヴィジュアル系路線から脱却し、表現力、サウンドが破竹の勢いで進化しているのが感じられたDir en Grey。『鬼葬』は、ひとことで言うとエログロな内容で、狂気すら感じる背徳的な作品だった。

一方本作は、よりサウンドの重量感が増しており、海外のニューメタル勢から影響を受けたようなバンドサウンドに圧倒される。メンバーが本作を表現する際、「墨汁のついた太い筆で塗りたくったような作品」…のようなことを何処かで言っていたような記憶がある。直線的で突進力がありながら深みも感じさせる本作にはピッタリの表現である。

まずは#1「audience KILLER LOOP」から#3「INCREASE BLUE」辺りまで、ライブ映えしそうな迫力のある曲で一気に畳み掛ける。その後、7弦ギターを駆使した本作中最も重たいサウンドで狂い回る#13「Obscure」、絶叫中心で駆け抜けるシングル曲#14「CHILD PREY」など、一聴でのインパクトは相変わらず大きい。

ただ、こうやって荒々しく表現していても、所々にしっとりとした”和”のテイストを組み込んできたり、綺麗な京のヴォーカルのサビが印象的だったりと、決してやかましいだけの作品ではないことは付け加えておきたい。#5「砂上の唄」に関してはその証左と言える。彼らの曲は癖があって聴きづらいものが多いが、だからこそ好きだったりする。一曲の中でも聴きどころは多く、一秒たりとも聴き逃すまいとじっくり聞き込みたくなる。…それが彼らの音楽の魅力ではないだろうか。

inaba-magma
1.冷血
2.くちびる
3.そのswitchを押せ
4.波
5.眠れないのは誰のせい
6.Soul Station
7.arizona
8.風船
9.台風でもくりゃいい
10.灼熱の人
11.なにもないまち
12.Chopsticks
13.JEALOUS DOG
14.愛なき道
15.Little Flower

人間臭い稲葉浩志

あの日本のロックアイコン、B’zのヴォーカリスト稲葉浩志のソロ作品。バンドと比べると、なんてやさぐれた世界を作り上げているんだろうと、聴くたびに思う。

…運動神経抜群で、頭脳明晰。ルックスもよく、極めつけは国内を代表する歌声の持ち主という、我々からすればもはや超人の域に達している稲葉浩志。ロックを体現するようなハイトーンかつ野性的な歌声は、もう誰にも真似できない孤高のものであるといえる。

稲葉氏は人気絶頂のB’zを尻目に、本作でソロデビューを果たすのだが、これがとても感傷的というか内省的というか…。本作を手に取る人は当然、B’zの延長線上のサウンドを期待するものだから、パワフルな作品を想像していただろう。まあソロだからユニットと違うのは当たり前なのだが、表の住人だと思っていた稲葉氏が、陰の強い本作を創りだしたことで、より魅力が増したように思う。

おそらく、とても人間臭い作品なのだと思う。泥臭ーい演奏に野性的なヴォイスが印象的だが、特筆すべきは日常を切り取ったようなやさぐれた歌詞。憂鬱で堕落した、投げやりのようで反骨精神さえ感じさせるその世界。稲葉氏はどこでその言葉を紡ぎだすきっかけを経験したのだろうと不思議でならない。こうなってくると、稲葉さんも我々と同じ人間なんだと、なんだか親近感すら湧いてくる。

ポップさとは無縁の作品になったが、ある意味穏やかで、ある意味刺のある、とても渋い作品である。B’zのスタジアム・ロックを聴かず嫌いしているロックファンの方々、この作品はオススメですよ。

nakatanimiki-shiseikatsu
1.フロンティア(Album Version)
2.雨だれ
3.temptation
4.Confession
5.クロニック・ラヴ(Remix Version)
6.Spontaneous
7.夏に恋する女たち
8.Automatic Writing
9.フェティシュ(Folk Mix)
10.Leave me alone…
11.promise
12.all this time
13.temptation(Drum Mix)

架空のサウンドトラック

中谷美紀の作品はどれもホントに繊細で美しい。坂本龍一がプロデューサーというのも大きいと思うが、歌声をフィーチャーするというより、エレクトロ色を前面に押し出し、サウンド面へのこだわりを強く感じさせた作品である。彼女のガラス細工のような美しさ、謎に包まれた佇まいなどが、作品を通してしっかりと表現されている。

人気女優がリリースしたとは思えない陰鬱さが衝撃的な前作『cure』は、雰囲気、歌声、サウンドプロダクトなどがとてもいい具合に溶け合った傑作だった。一方、『私生活』は、坂本龍一によるサウンドプロダクトが前面に出た作品で、圧倒的な虚無感を感じさせるものに仕上がっていて、これまた驚きの作風となっている。

もはやアンビエント(環境音楽)とも取れるその音空間は、いわば”架空のドラマのサウンドトラック”と言っても過言ではない。個人的には専ら読書をする時、はたまた無心になりたい時などに引っ張りだして聴きたくなる作品である。

単純に聴き応えのある曲としては#1「フロンティア」、#5「クロニック・ラヴ」、#7「夏に恋する女たち」などがあるが、生活音や会話で構成されたインタールードのような曲が数多くあり、タイトルの『私生活』を体現したようなアルバムと言える。個人的に中谷美紀の曲の中で一番好きな曲は#2「雨だれ」で、冷気漂うかのようなシンセの音、そっと息を吹きかけるような優しい歌声の重なりがたまらず、専らリピートの対象である。

生活感があるようで無いような…とても不思議な音世界。真っ白い壁に囲まれた部屋に日差しが差し込んだり、雨雲で薄暗がりになったりと、曲が進むごとに部屋の雰囲気がゆっくりと変化していく。まるで、窓から外界の様子を伺うインドアな少女の、その生活感を盗み見ているような感覚とでも言おうか。一つ一つの音から生まれるイメージを大切にしながらじっくりと味わいたい、非常に聴き応えのある作品であると思う。

坂本龍一の色が強まり、中谷美紀の歌声が積極的に取り入れられていないということで、ファンからは不評の作品だが、個人的には前作『cure』とはまた別の種類での名作だと思っている。じっくり聴くにも、肩の力を抜いて聞き流すにも最適な音楽なので、ふと聴きたくなるのは本作『私生活』の方が多かったりする。

…それにしても中谷美紀の作品はなんでこんなにも内省的な作品が多いのだろうか。とてもじゃないがどれも大衆的な作品ではないし、大女優が出す音楽作品とは到底思えない。ただ、イメージも相まったとても繊細で綺麗な音楽は、個人的にはとても気に入っているし、そんな作品をリリースした中谷美紀をより一層好きになってしまったのも事実。

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larc-ray
1.死の灰
2.It’s the End
3.HONEY
4.Sell My Soul
5.Snow Drop (Ray Mix)
6.L’ Heure
7.花葬
8.侵食-lose control-
9.trick
10.いばらの涙
11.The Silver Shining

バンドの魅力満載、非常に濃い内容の名作

『Ark』と共にリリースされたことでも知られる名作アルバム『Ray』。ポップ寄りの『Ark』に比べ、退廃的な部分が目立つ作品として知られ、ラルクの本質に迫る内容である。3枚同時リリースされたシングル3曲に加え、アルバム収録曲からも名曲が数多く誕生している。アルバムとしての完成度もこちらに軍配が上がり、ラルクの代表作に挙げられるのは決まってこの作品である。個人的にもアルバム単位で聴き返すのはこちらのほうが多い。

この時期のラルクのシングルは本当に傑作揃いだと思う。中でも人気を不動のものにしたとされる#3「HONEY」、#7「花葬」、#8「侵食-lose control-」の三曲は言うまでもないだろう。これら3曲は1998年に同時リリースされ、チャートのトップ5に3曲がランクインするという快挙を成し遂げた。

ダークサイドに彩られた作品ということもあり、やはりKen作曲のものが多めとなっている。地味ながらズンズン進んでいく演奏が癖になる#2「It’s the End」に始まり、#7「花葬」#8「侵食」もKen作曲によるものである。

そして、アルバムから生まれた楽曲で特に印象的なのが、#10「いばらの涙」。これは人気投票でも上位に食い込んだ曲でもあり、本作の雰囲気を艶やかに表現している名曲である。他にも荒れ地を突き進むような#1「死の灰」や、ライブの定番曲となっている#9「Trick」、小休止のインスト#6「L’ Heure」までも、本作の雰囲気を創りあげ、非常に濃い内容の作品に仕上がっている。

『Ark』もいい作品だったが、個人的にラルクに求めてしまうのは、退廃的な世界観や妖艶な空気感が支配する世界。・・・表現が難しいが、とにかく『Ray』に漂う世界観が、私は大好き。『Ark』程ではないが、聴きやすい作品なので、初めての方にもおすすめできる。

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larc-ark
1.Forbidden Lover
2.Heaven’s Drive
3.Driver’s High
4.Cradle
5.Dive to Blue
6.Larva
7.Butterfly’s Sleep
8.Perfect Blue
9.真実と幻想と
10.What Is Love
11.Pieces (Ark Mix)

キャッチーな音色に包まれた、全盛期を象徴する音

新ドラマーにyukihiroを迎えて再始動した1997年。そこからの彼らの勢いは、今改めて考えてみても凄まじかった。それは「虹」に始まり、以降も短期間で怒涛のリリースが続きながらも、そのどれもが音楽的に高い評価を受けた。そして結果的に社会現象といえるほどにまで彼らの存在は大きくなっていった。

その”ラルク狂騒”の極みと言えるのが、1999年の『Ark』『Ray』同時リリース。チャートも1位と2位を独占。本作『Ark』に関しては、現在もなおラルク史上最高の売上を記録したアルバムとなっている。ちなみにアルバムを二枚に分けたのは、メンバー曰く”HEART以降のシングルを一枚に収めたら、ベストアルバムになってしまうから”だという。

本作はTetsuyaの曲が多く採用されていることからも分かるように、ポップでキャッチーな曲が印象的なアルバム。#2「HEAVENS’S DRIVE」、#3「Driver’s High」と熱気のある明るい楽曲で一気に引き込み、以降も大空を羽ばたくPVが印象的な#5「DIVE TO BLUE」や、ハワイアンテイストの#8「Perfect Blue」、暖かい陽気に誘われるような#10「What is Love」、幸福感に満ちたバラード#11「Pieces」と続く。このように今までにないほど開放的で明るい作品である。彼ら特有の怪しい雰囲気や、癖の強さをあまり感じさせないため、ラルクが苦手な人でも入り込める余地は十分にある。

ただ、他の作品に比べてアルバム曲の印象が薄い印象が未だにある。その理由としては、シングル曲のインパクトがどれも強い、というのが全てだろう。個人的には#9「真実と幻想と」はお気に入りなのだが、あまり話題にのぼらないのが残念。

この全盛期のラルクを私はリアルタイムで聴いていたわけではなく、後追いでこの作品を手にすることとなったのだが、ラルク初体験となった#2「HEAVEN’S DRIVE」を聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。聴き覚えのある曲だったこともあったが、こんなカッコいいバンドがチャートを賑わせ、社会現象を起こしていたという事実に興奮し、すぐにこのバンドの虜になった。このラルクとの出会いが、以降の私の音楽嗜好を完全に決めてしまったと言ってもいいくらい、私はこのバンドに対して強い思い入れを持っている。

そんな経験談から、初めてラルク聴く人には本作から入ってみることをおすすめしたい。Tetsuyaの楽曲が多いとはいえ、不穏な幕開けを告げる#1「Forbidden Lover」や、深淵に堕ちていくような#9「真実と幻想と」も聴けるため、なんだかんだ当時のラルクらしいサウンドを楽しめるのではないかと思う。

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